研究課題/領域番号 |
19F19343
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中山 雅晴 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70274181)
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研究分担者 |
KUMBHAR VIJAY 山口大学, 大学院創成科学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | 亜鉛イオン二次電池 / 積層二酸化マンガン / カーボンクロス / フレキシブル / コバルト |
研究実績の概要 |
近年の携帯用電子機器や電気自動車などの開発により,安価で安全なエネルギー貯蔵システムの需要が高まっている。現在,リチウムイオン電池(LIB)がエネルギー源として広く使用されているが,その成分(有機電解液など)の有毒性,可燃性のため,安全性に問題を抱えていることが知られている。LIBに代わる新たなエネルギー貯蔵システムとして,水系で動作する亜鉛イオン二次電池(ZIB)が注目を集めている。ZIBは電解質として亜鉛イオンを含む水溶液,負極として金属亜鉛,正極として亜鉛イオンを貯蔵できるホスト材料から構成される。ZIBは正極での反応がエネルギー貯蔵性能を決定するため,可逆で安定なZnイオンの挿入・脱離を可能にする安価な正極材料の開発が望まれている。また,水系で動作するというZIBの利点を最大限引き出すためには“ウエアラブル”という価値の付与が必要であり,その実現のためにフレキシブルな電極の開発が必要である。 本研究では電気化学法により積層二酸化マンガン(MnO2)をフレキシブルなカーボンクロス上に析出させ,ZIBの正極として活用することを試みた。積層MnO2の骨格にはコバルトイオンを,層間には亜鉛イオンを電極作製段階で導入した(Zn/Co-MnO2)。この正極を亜鉛負極といっしょに組み込んだ水性ZIBは,高電流密度において大きな放電容量と安定なサイクル特性を示し,Zn/Co-MnO2が正極材料として有望であることが明らかになった。さらに,カーボンクロスを窒素ドーピングすることにより,性能が向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
積層二酸化マンガンをさらに高度制御し,エネルギー材料として応用することを目的とした。一つの応用として,亜鉛イオン二次電池の作製に取り組み,良好な結果(理論値に近い放電容量,600サイクル以上の安定な応答,高電流密度での動作)が得られたという点で概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
亜鉛イオン二次電池としての応用では,(1)析出量を増やし,体積当たりのパフォーマンスを向上させること,(2)全固体型セルとすること,(3)実際にフレキシブルなセルを作製し,性能確認すること,が今後の課題である。別用途として,他のエネルギー材料,例えば亜鉛-空気電池などへの応用を推進してゆく。その際には,電析薄膜に拘らず,様々カルコゲナイドハイブリット材料を検討する予定である。
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