位相特異点(螺旋波面)に由来する環状光強度分布と軌道角運動量を有する光波を光渦と呼ぶ。現在、量子光学、バイオイメージング、物質加工まで光渦の応用研究は多岐にわたる。これら応用研究の成否を握るのは、如何に効率よく純度の高い光渦を多様な波長で発生できるか、というレーザー技術である。そこで青色半導体レーザーで励起が可能で可視域で高出力に発振するPr:YLFレーザーを取り上げた。また、その共振器内第二高調波発生によって、光渦をはじめとする多様な特殊モードを固有モードとして発生できる可視(赤、オレンジ、緑)~紫外レーザーを開発した。発生した特殊空間モードは、右周りと左回りの光渦を北極・南極とする軌道ポアンカレ球上にマッピングできる。そのため、軌道ポアンカレレーザーと呼ばれる。このような軌道ポアンカレレーザーを可視、紫外域で開発したのは世界初である。 レーザー出力は可視域で100mWを超える。紫外域でも数mWに達する。Pr:YLF軌道ポアンカレレーザーをさらに進化させて、一つの波面に複数(最大>40)の位相特異点を包括する光渦アレイモードの発生にも成功した。 これらの研究成果をOptics Expressに学術論文として発表した。また、1編の学術論文をJournal of Optics(Accepted with minor revision)から発表予定である。さらに、緑軌道ポアンカレモードレーザーに関する論文を執筆中である。
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