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2020 年度 実績報告書

構造部材の再利用を可能にする鋼構造建築物のモジュール化技術

研究課題

研究課題/領域番号 19F19360
研究機関北海道大学

研究代表者

岡崎 太一郎  北海道大学, 工学研究院, 教授 (20414964)

研究分担者 XU FEI  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2019-11-08 – 2022-03-31
キーワード建築構造 / 鋼構造 / リユース / 塑性変形 / ひずみ時効 / モジュール構造
研究実績の概要

建築用鋼材は、建築物の供用期間が終了した時点でも、当初の性質をほとんど維持していると考えられるが、実際の建築物では、解体後に回収された鋼材はスクラップに回される。そこで本研究は、解体される建築物から採取した鋼部材を、新設建築物に再利用するための基礎技術を開発することを目的に掲げる。工学的な課題は、地震等によって塑性変形を受けた鋼材が、時間を経てその力学的特性を変える、ひずみ時効の影響である。2020年度は、代表的な鋼材について、塑性履歴とひずみ時効を受けたあと、力学的特性が変わる過程と要因を分析するための手法を開発した。試行的に、塑性変形と養生時間を経た鋼材において、微細構造が初期状態とどのように異なるかを調査した。微細構造分析には、後方散乱電子回折と透過電子顕微鏡、X線回析の組み合わせが有益であることを確認した。一方で、これまでに蓄積した実験データに基づいて、塑性変形とひずみ時効の影響を関数化して、鋼材の繰返し履歴則に組込む方法を整理した。有限要素法解析において、第一段階目の解析で生じた累積塑性ひずみに応じて、各要素の繰返し履歴則を分布的に更新したあと、第二段階目の解析を実施する方法を考案した。この有限要素法解析の有効性を、過去に実施した実験結果に対して検証した。結論として、過去の地震で塑性変形を受けた構造部材が、次に地震を受けたときにどのように違った挙動を示すかを、提案する解析法で適切に再現できることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ひずみ時効による、鋼材の結晶構造の変化を同定・測定するための検査方法を定め、試行したことは、大きな成果だと考えている。しかし、コロナウィルスの蔓延で、検査施設の活動が制限されたことなどによって、進捗は遅れ気味である。

今後の研究の推進方策

ひずみ時効を分析するための、実験と微細構造分析を実施する。この手法は、昨年度までに確立し、試行的に実施したものである。昨年度製作した、合計32のサンプルについて、化学的組成、塑性変形量と養生時間によって、鋼材の微細結晶構造がどのように異なるかを調査・整理する。微細構造分析には、後方散乱電子回折や透過電子顕微鏡、X線回析を組み合わせる。この分析結果を用いて、ひずみ時効を数値解析に織りこむための方法を体系化する。このデータに基づいて、鋼材の化学組成と塑性変形履歴をパラメータに、鋼部材あるいは鋼構造建築物の残存性能を評価する方法を開発する。さらに、鋼部材の再利用を前提とした、新しい建築用モジュール構造の構想を進める。

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公開日: 2021-12-27  

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