研究課題
本研究課題では、毛髪の生えた頭皮での長期脳波測定を実現するために、皮膚に塗付することができる導電性バイオゲルの開発をおこなった。このバイオゲルは、生体適合性と生分解性を備えており、さらに材料の配合を変化させることで、粘性液体と粘弾性ゲル間での可逆的な相転移の温度制御を制御することができる。この相転移温度を体温付近に制御することで、バイオゲルを頭皮に直接塗る際は、液体状態にすることができる。塗った後に、機械的に強固なハイドロゲルへ相転移させることで、電極を毛髪の生えた頭皮に強固に密着させることができる。これによって、良好な電極・皮膚界面を形成することに成功した。さらに、このバイオゲルを用いて毛髪のある頭皮に電極を数日間連続して装着することにより、高い信号雑音比で安定した脳波計測が可能であることを実証した。また、測定した脳波を利用したブレイン・マシン・インターフェースへの応用の可能性を示すため、バイオゲル電極を用いて定常状態の視覚誘発電位(SSVEP)を計測した。畳み込みニューラルネットワークベースの学習アルゴリズムによってSSVEPを分類したところ、バイオゲル電極を二日間装着し続けても、高精度に分類することができることを確認した。以上の通り、高品質な生体信号を長期間計測可能な材料の開発を行うとともに、実際に長期計測が困難であった脳波測定に応用することで、材料のフィージビリティを確認することに成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Chemical Society Review
巻: - ページ: -
10.1039/d2cs00207h
Proceedings of the National Academy of Sciences
Science Advances
巻: 118 ページ: -
10.1073/pnas.2111904118
http://www.ntech.t.u-tokyo.ac.jp/