研究課題/領域番号 |
19F19366
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
石田 康博 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (20343113)
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研究分担者 |
ZHAN YIYANG 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | ヒドロゲル / 高分子ゲル / 疎水性相互作用 / 自己集合 / 高分子網目 |
研究実績の概要 |
本研究では、新原理に基づく超分子6量体「分子ほぞ」ナノキューブ(候補者の博士研究)を手がかりに、究極的に構造制御された3次元ポリマ ー網目により形成される高分子ゲルの開発・評価・応用を行う。高分子ゲルの網目構造を制御しユニークな物性へとつなげる研究は、この20年 間で飛躍的な進歩を遂げたが、ほとんどの網目構造は確率論的な過程で合成されるが故の構造不明確さを持ち、このことが高分子ゲルの物性を 損なうだけでなく、物性の理論的理解の足かせにもなってきた。「分子ほぞナノキューブ」を分岐点とする網目は、分岐数・分岐間距離・分岐 安定性の自在な制御を可能としうる。
今回、コンバージェント法により、「分子ほぞナノキューブ」から高分ゲル網目を形成するためのコンポーネントの合成方法を検討した。歯車型両親媒性分子のMeO基を脱保護することによって水酸基へと変換した後、両端の水酸基をpートルエンスルフォン酸エステルに変換したポリエチレングリコールと反応させることにより、エーテル結合生成を試みた。その際、歯車型両親媒性分子中の水酸基に塩基を作用させることにより、アルコキシドへと変換する必要がある。塩基として酸化セシウムを用いた場合には、反応の途中で大量の不溶物が生成し、未反応のポリエチレングリコール、ならびに、ポリエチレングリコールの片方の末端のをpートルエンスルフォン酸エステルのみが歯車型両親媒性分子と反応して得てる結合を形成した物質が回収された。一方で、塩基として水素化ナトリウムを用いた場合、エーテル結合生成は極めて効率よく進行し、ポリエチリングリコールの両末端にあるpートルエンスルフォン酸エステルがほぼ定量的に歯車型両親媒性分子と反応してエーテル結合を形成する手法が確立された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
このプロジェクトにおいて、有機合成化学の観点から最も難しいステップと予想されていた(歯車型両親媒精分子)ー(ポリエチレングリコール)ー(歯車型両親媒精分子)の合成が、短期間のうちに達成されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、このようにしてられた(歯車型両親性精分子)ー(ポリエチレングリコール)ー(歯車型両親媒性分子)を単離精製するとともに、水系溶媒中にて自己集合させ、分子ほぞナノキューブを形成させることにより、高分子ゲル網目の形成を目指す。その後、温度・溶媒・濃度などの反応条件、ならびにポリエチレングリコールの鎖長を最適化することにより、より構造欠陥の少ない高分子ゲル網目が形成される条件を最適化するとともに、得られるヒドロゲルの諸物性(力学的性質、小角X線散乱挙動、物質拡散挙動)などを調べる。
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