一昨年度および昨年度の研究で開発された、磁場配向性の酸化チタンナノシートを内包した異方性ヒドロゲルについて、ゲル内の水分子を液晶分子(5BC)に置き換えたところ、液晶分子はその長軸がナノシートに対し平行になるよう、配向することが明らかとなった。また、ここにカチオン性界面活性剤(CTAB)を加え、ナノシート表面を修飾したところ、液晶分子はナノシートに対し、垂直に配向するようになった。一連の分子配向は、センチメートル角の巨大なゲル内部全体において達成されていることが、小角X線散乱より分かった。また、レオロジー試験により、この異方性液晶ゲルは顕著な力学的異方性を持つことが明らかとなった。さらに興味深いことに、カチオン性界面活性剤CTABの代わりに、光異性化部位を持つカチオン性界面活性剤を用いたところ、紫外光/可視光の交互照射に応答し、液晶分子の配向がナノシート に対して垂直/平行と可逆的に変化するシステムの構築に成功した。
|