研究課題/領域番号 |
19F19375
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
巨 陽 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60312609)
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研究分担者 |
CUI YI 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | ナノ構造体 / 応力場制御 / 原子拡散 / 金属ナノワイヤ / 半導体のナノ構造体 |
研究実績の概要 |
1.金属ナノワイヤアレイ成長における応力の役割の解明 金属ナノワイヤを作製する応力集中誘導法では、シリコン基板とAl薄膜の熱膨張係数の違いにより、高温状態では基板と薄膜の界面でAl薄膜に熱圧縮応力が作用し、Al薄膜中に厚さ方向の応力勾配が形成される。一方、FIB加工により薄くなった領域では高密度なAl金属ナノワイヤアレイができる。しかしながら、加工領域と未加工領域での圧縮応力や応力勾配の差はほとんどなく、高密度成長のメカニズムは未だ解明されていない。本研究では、TEM観察により原子の拡散を実験的に解析するとともに、数値シミュレーションにより表面粗さ、残留応力、結晶構造、転位がAlナノワイヤの高密度成長に及ぼす影響を解析した。さらに、金属ナノワイヤ高密度成長の要因は、加工領域での結晶構造の変化により応力で駆動される金属原子の拡散が促進され、遷移できる原子の個数が大きく増加していることであると突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定されていた本年度の研究計画が順調に実施されており、来年度の研究計画である半導体ナノ構造体成長における応力の役割に関する解析に既に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
1.半導体ナノ構造体成長における応力の役割の解明 半導体ナノ構造体を作製する応力酸化誘導法では、高温状態においてFe基板表面に酸化膜が形成され、表面酸化膜の体積膨張効果によりFe基板内で厚さ方向に応力勾配が形成される。この応力勾配は金属原子拡散の駆動力であり、高密度半導体のナノ構造体の生成の要因と考えられていたが、酸化物の形成により発生するFe原子の欠損が金属原子拡散に及ぼす影響が考慮されていない。本研究では、TEM観察により原子の拡散を実験的に解析するとともに、数値シミュレーションにより表面粗さ、残留応力、結晶構造、転位、原子密度が高密度Fe2O3ナノ構造体の成長に及ぼす影響を解析する。最終的に実験と計算の融合により高密度半導体ナノ構造体の成長機構を明らかにする。
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