研究課題/領域番号 |
19F19384
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉村 崇 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 教授 (40291413)
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研究分担者 |
CHEN JUNFENG 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2021-03-31
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キーワード | 季節繁殖 / メダカ / タイセイヨウニシン / TSHR |
研究実績の概要 |
四季の存在する温帯地域では、動物は特定の季節に繁殖活動を行なう。これを季節繁殖と呼ぶ。妊娠・孵卵期間の短い小型のハムスターやウズラは春に交尾を行う長日繁殖動物であり、妊娠期間が約半年のヤギやヒツジは秋に交尾を行う短日繁殖動物であるが、繁殖時期の長日性、短日性を制御する仕組みは明らかにされていない。CHEN博士は長日条件と短日条件でそれぞれ繁殖活動を行なうタイセイヨウニシンの野生集団間の全ゲノム比較をしたところ、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)遺伝子を候補遺伝子として検出した。特に、TSHR遺伝子の上流領域の配列の違いが繁殖時期の短日性、長日性を制御している可能性が考えられたが、タイセイヨウニシンの性成熟には数年かかるため、個体レベルでの機能解析が現実的ではない。そのため、TSHRノックアウトメダカを作出し、春と秋にそれぞれ産卵するタイセイヨウニシン集団由来のTSHRを導入し、繁殖時期に及ぼす影響を検討することを目的とした。2019年度はタイセイヨウニシンのTSHRを含むBACクローンの作出を進めた。まず、春型のTSHRを含むBACクローンを改変し、秋型のBACクローンの作出を試みたが、予期せぬ組み換えが挿入されたため、新たにBACクローンの作出に取り組んでいる。また、それと並行して、BACクローンを導入するTSHRノックアウトメダカの準備を進めた。TSHRノックアウトメダカのホモ型とヘテロ型は成長が遅かったことから、TSHRが重要な働きをしていることが示唆された。また、野生型とヘテロ型のメダカは繁殖することができたが、ノックアウトホモ型は不妊であったため、ヘテロ型の親を使ってBACトランスジェニックメダカの作出の準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスに伴う非常事態宣言で大学の研究活動が制限され、研究所での研究活動が3か月以上にわたって制限された分、研究がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
6月に入り、徐々に大学での研究活動が平常時に近づいているため、当初の計画を達成できるように研究を推進する。
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