研究課題/領域番号 |
19F19389
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小川 幸春 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (00373126)
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研究分担者 |
TIAN JINHU 千葉大学, 園芸学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-10-11 – 2022-03-31
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キーワード | 加圧加熱加工 / 糖 / ポリフェノール / 物性 / 消化性 |
研究実績の概要 |
わが国を始めとした先進国では白米や白パンなど精製された糖質食品の摂取による2型糖尿病をはじめとした生活習慣病の問題が顕在化して久しい.これは精製されたデンプンの糖質としての消化吸収性が向上することに起因する.換言すると,現在ではデンプンの消化吸収性を抑制する加工法が必要とされている.エクストルーダは糖質食品原料を加工する際に適用されることが多く,加工後の糖質消化性は大幅に向上する.ただし,原材料にポリフェノールが含まれる場合,得られる加工品の糖質消化性は逆に低下することが知られる.本課題ではエクストルーダを用いた高圧加工処理が糖質食品原料の糖質消化性に及ぼす影響を検討する. 2019年度は糖質原料の加工処理条件と得られたサンプルの物性,消化性の関係について検討した.高圧加工処理には浙江大学が所有する2軸型のエクストルーダ装置を用い,加工時の圧力負荷,温度,加工時間などをパラメータとしてパフ状のサンプルを得た.デンプン素材としてはコメを用い,ポリフェノールを付加して得られたパフの理化学特性をはじめin vitroでの模擬糖質消化性を評価した.その結果,得られたサンプルの物性は加圧負荷により増加する傾向がみられた一方,加圧負荷による糖質消化性は低下する傾向を示した.これらの結果は,加圧負荷によるデンプン-ポリフェノール重合体の生成に関係すると考えられた.ただし,加圧処理する際のサンプル混合の状態による不均質性が実験結果のばらつきに影響を及ぼす可能性があるため,サンプルの前処理についてもさらなる検討が必要であることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は高圧加工処理時におけるポリフェノールの種類や添加量がデンプンの消化性に及ぼす現象について検討する.エクストルーダでコメデンプンを加工する際,茶葉や柑橘果皮など様々なポリフェノールを含有する材料を混合し,デンプン-ポリフェノール重合体の生成を促す.その際,加工パラメータを調節して得られるサンプルの性情を変化させる.これによりデンプン-ポリフェノール重合体の割合や複合分子構造が異なるサンプルを得る.得られたサンプルの化学的特性はHPLCなどによって評価するとともに,X線回折装置やNMRなどによって複合分子の構造を推定する.
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