研究課題/領域番号 |
19F19396
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 直 京都大学, 農学研究科, 教授 (20183353)
|
研究分担者 |
KHALIDUZZAMAN 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
|
キーワード | 鶏卵 / テラヘルツ分光 / センシング / 雌雄判定 |
研究実績の概要 |
鶏卵の画像計測用装置を構築し,卵殻の色が紫外から近赤外の透過光や反射光にどのような影響を与えるのかを調査する。鶏卵が孵化する過程の骨格形成などに対して卵殻中のカルシウムが用いられ,それに伴う卵殻の厚さ変化の傾向は,成長速度の異なる雌雄で異なると言われている。特に以下の3つのチャレンジングな目的のもとで実験を行った。 1.卵殻の厚さに基づいて有精卵の雌雄を推定すること。2.テラヘルツ領域の卵殻の特性に基づいて孵化前の鶏胚の雌雄を推定すること。3.非破壊の卵殻情報に基づいてインキュベーション中の生きた鶏胚を検出すること。 2019年は最初の年として,卵殻の厚さを精密に計測する方法を構築し,破壊試験において卵殻の厚さと雌雄の関係性を明らかにすることを目的にして,卵殻 および殻膜の分光透過特性を広帯域(紫外からミリ波帯)に渡って調査し,非破壊計測に有効な波長帯を探索した。さらに,卵殻の色を計測すると共に,テラヘルツタイムドメイン分光装置(THz-TDS)を用い,非破壊で卵殻の厚さを計測するための装置を準備し,実際に実験に供し,厚さのデータを収集した。収集したデータは70%を学習用に用い,残りの30%を検証した。その結果,計測した卵殻の厚さとと予測した卵殻の厚さとの間には正比例の相関(決定係数:R2=0.87-0.93)が見られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述した実験はほぼ,順調に進んでいる。第1報として,Science Reportに査読論文を投稿し,掲載された。また,口頭発表も3月に行った。さらに,7月にはアメリカで,9月にはつくばで研究成果を発表するつもりで発表用原稿を送ったが,どちらも新型コロナウイルスの関係で,キャンセルになった。また,その関係で3月から必要としている物品が入りにくくなった(特に中国生産されている物品)こともあり,実験は現在,停止している。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの蔓延で,緊急事態宣言が発令され以降,大学では新しい実験が停止されている。そのウイルスが収束次第,以下のような実験を行う予定である。 1.ブロイラーと採卵鶏の鶏卵を専門業者から購入し,インキュベーター内で孵化させる間に,テラヘルツタイムドメイン分光装置(THz-TDS)で200-900 nmの反射率および透過率を計測する。 2.孵化する直前から負荷の工程を自動的に録画し,計測結果と雌雄の関係をPCR等をもしいて明らかにする。 これらは京都大学の動物実験委員会の承認のもとに進める。
|