研究課題/領域番号 |
19F19721
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
杉本 晃宏 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (30314256)
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研究分担者 |
BREUILS STEPHANE 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-07-24 – 2022-03-31
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キーワード | 幾何操作 / geometric algebra / コンピュータグラフィックス / デジタル幾何 |
研究実績の概要 |
Geometric Algebraは点、直線、曲線、曲面などの対象を統一した形で記述する抽象度の高い数学モデルであるが、これまで、その実利用は困難であるとされてきた。本研究課題では、計算機内の点や直線、曲線、曲面は離散データで管理されているという実践的な視点に立って、そういったデータに対する幾何操作可能なモデルを考案し、実践的に利用可能なGeometric Algebraを構築することを目指している。
離散データ上に定義された離散曲線や離散曲面に対する幾何操作では、操作の前後で、離散化に伴う問題、例えば、連続の世界で成り立つ全単射性が保証されない、位相不変が保証されない等が発生する。そこで、基本的な幾何操作である鏡像変換、および、回転に焦点を当て、これらの変換をGeometric Algebraを用いて定式化し、その定式化の下で、全単射性を保証するためには、鏡像変換、回転がどのような性質を満たす必要があるかを検討した。また、その性質を満たさない鏡像変換、回転の場合、それを全単射性を満たす鏡像変換、回転で近似するためのアルゴリズムについても検討を加えた。さらに、回転のみならず平行移動も含んで剛体変換として議論できるように、剛体変換の双対四元数表現をGeometric Algebraを用いて定式化する検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時は、離散データを扱う幾何操作における位相変化を検討する予定であったが、全単射性を満たすための性質を検討することがより重要であることが判明し、新たな研究の方向性(たとえば、全単射性を満たす変換による近似アルゴリズムの導出など)を見出した。一方で、全単射性を満たすための解析が予想以上に困難であり、位相変化を検討するまでには至らなかったが、全単射性は間接的に位相変化の検討につながっているので、研究が遅れたとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
外国人特別研究員の残りの滞在期間も限られているので、位相変化の検討に関しては深く踏み込まず、全単射を保証するための条件を明らかにし、その条件を満たす変換の性質を明らかにするとともに、これまでの研究の完成度を高めることに注力する。
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