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2019 年度 実績報告書

昆虫概日時計の分子出力機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19F19737
研究機関大阪市立大学

研究代表者

後藤 慎介  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70347483)

研究分担者 DES MARTEAUX LAUREN  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2019-11-08 – 2021-03-31
キーワード昆虫 / 光周性 / 概日時計
研究実績の概要

光周性の日長測定を担う概日時計の出力因子を明らかにするため,明瞭な光周性を示し,RNA干渉(RNAi)が有効なホソヘリカメムシ(カメムシ目ホソヘリカメムシ科)を用いて実験を進めた.
野外採集から2世代を経た集団(F2)のメス成虫は明瞭な光周性を示し,長日条件下では卵巣を発達させ,短日条件下では卵巣発達を抑制することが明らかになった.その光周性はF9世代では弱くなるものの,それでも有意な差があることがわかった.しかしながら,無処理個体においても死亡率が高く,F2世代でも30%,F9世代では50%を超える.飼育方法の改善を行いながら,実験を進めている.このため,多くの個体を実験に供しても最終的に結果が得られる個体が少なく,進捗はやや遅れている.
これまで,120個体を超えるホソヘリカメムシのメス成虫に3つの概日時計出力候補遺伝子の二本鎖RNAを注射するRNAi実験を行った(無処理個体も含めた総個体数は201).まず, short neuropeptide F(sNPF),diuretic hormone 31 (DH31),neuropeptide F(NPF)についてRNAi実験を進めている.sNPFおよびDH31については,対照群に比べて死亡率が顕著に高い.これは,これらの遺伝子が生存そのものに関わっていると考えられる(多面的発現).光周性への影響は現在のところ見られていないが,実験を継続し,十分な個体数を得た上で議論すべきである. NPFについては個体数が少なくその関与を議論するには至っていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

死亡率の高さに起因し,十分な個体数での結果が得られていないため「やや遅れている」と判定した.その一方で,sNPFやDH31の多面発現についても知見が得られてきたので,この点についても留意しながら実験を進めることができるようになった.

今後の研究の推進方策

使用していたホソヘリカメムシの系統が非常に弱く,死亡率が高いという問題が生じている.5月頃から野外で成虫の採集を精力的に行い,新しい系統を確立させる.複数の系統,複数の世代を用いることで,死亡率の改善に取り組む.また光周性に問題がないかを確認する.
引き続きRNA干渉法を行い,光周性に影響する遺伝子の絞り込みを行う.メス成虫の卵巣発達を指標とする.現在までにsNPF(small neuropeptide F),DH31(Diuretic hormone 31)の効果を検討しているので,NPF(neuropeptide F)とITP(Ion transport peptide)を含む残りの神経ペプチドについても検証を進める.
効果が見られた遺伝子に関しては,RNAiによるmRNA量の低下が実際におきているかをRT-qPCRにて確認する.これまでの研究からperiod, mammalian-type cryptochrome, Clock, cycleといった概日時計遺伝子が日長測定に関わることが知られているので,これらの遺伝子のRNAiによって,候補出力遺伝子の発現に変化が現れるかを調べる.さらに,当該遺伝子の発現が日内変動しているのかをqPCRで,脳内のどこで発現しているのかをin situ hybridizationで検証する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Insect fat body cell morphology and response to cold stress is modulated by acclimation2020

    • 著者名/発表者名
      Des Marteaux L., Stetina T., Kostal V.
    • 学会等名
      第64回日本応用動物昆虫学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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