研究課題/領域番号 |
19F19745
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 玉友 東北大学, 工学研究科, 教授 (30201106)
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研究分担者 |
HU YISONG 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | 下水処理システム / 嫌気性膜分離法 / メタン発酵 / バイオガス / アナッモクス法 / 窒素除去 / MBR / 省エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は省エネルギーと低炭素化に対応する都市排水の革新的処理システムを開発しようとするものである。都市排水に含まれるバイオマスからの効率的メタン生成とアンモニアの低炭素型高度処理を同時に実現するために、嫌気性動態MBR反応槽を用いたメタン生成ユニットと膜促進型一槽式ANAMMOXを用いた窒素処理ユニットを含む新規ハイブリッドシステムを開発する。具体的には(1)要素技術である嫌気性動態MBRによるメタン生成の基本的性能の研究、(2)膜促進型一槽式アナモックスを用いた嫌気性処理ろ液の高度処理、(3) 新規融合プロセスの長期連続実験による性能確認および微生物群集構造解析、(4) システム評価と設計最適化の研究の課題に取り組む。 令和2年度の研究は膜促進型一槽式アナモックスを用いた嫌気性処理ろ液の高度処理に焦点を絞り、HAP-PNAグラニュール式一槽型アナモックスプロセスを用い,嫌気性MBRにて嫌気性処理を行った実下水の窒素処理性能を評価した。容積5 Lのリアクターを用い、原水のNH4+濃度を150 mg-N/Lの条件で運転を開始し、原水のNH4+濃度の低下に伴いHRTも段階的に短縮し,25℃で連続運転を行った。その結果,原水のNH4+濃度を調製しない全量実下水条件では,平均窒素除去率は87%,平均硝化速度は0.20 kg-N/m3/d,平均窒素処理速度は0.34 kg-N/m3/dを確認した。さらに、活性試験と菌叢解析より,硝化活性はアンモニア酸化細菌,脱窒活性はアナモックス細菌が大きく寄与していることが分かり、実下水処理において一槽型アナモックスプロセスに関わるAOBとアナモックス細菌が維持できていたことが示唆された。本研究より,下水のメインストリーム処理において嫌気性MBR処理の流出水に対して一槽型アナモックスプロセスの応用が可能であることが連続実験にて明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいる。 本研究の目的は省エネルギーと低炭素化に対応する都市排水の革新的処理システムを開発しようとするものである。都市排水に含まれるバイオマスからの効率的メタン生成とアンモニアの低炭素型高度処理を同時に実現するために、嫌気性動態MBR反応槽を用いたメタン生成ユニットと膜促進型一槽式ANAMMOXを用いた窒素処理ユニットを含む新規ハイブリッドシステムを開発するが、令和元年度では、嫌気性動態MBR反応槽ユニットに焦点を絞って連続実験を通して、ユニットのスターアップと安定運転に成功した。また令和2年度では、膜促進型一槽式アナモックスを用いた嫌気性膜処理ろ液の高度処理について実験的検討を行い、下水のメインストリーム処理において嫌気性MBR処理の流出水に対して一槽型アナモックスプロセスの応用が可能であることが連続実験にて明らかになった。当初計画した目標はおよそ達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでおおむね計画通りの成果が得られたので、令和3年度以降は次のように取り組む予定である。 嫌気性動態MBR反応槽を用いたメタン生成ユニットと膜促進型一槽式ANAMMOXを用いた窒素処理ユニットを含む新規ハイブリッドシステムについて令和元年度と2年度の実験データを総合的に解析して、物質収支とエネルギー収支を明らかにするとともに、各ユニットの機能性微生物の構成とそれぞれの活性を解明する。その成果を論文として投稿する。
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