研究課題/領域番号 |
19F19757
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
植田 滋 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80359497)
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研究分担者 |
LI BAISHUN 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | チタン / エマルジョン |
研究実績の概要 |
各種金属合金の高温溶融精錬プロセスでは、ベースメタルおよび希土類元素の歩留まりや精錬工程での反応効率の向上が望まれる。精錬で発生する酸化物であるスラグとメタル間の反応を決定づける金属液滴エマルジョン生成現象や元素の混合挙動を明らかにして、混合による反応促進および分離を制御する方法を物理化学的観点から明らかにすることを目的とする。 本研究では濡れおよび懸濁現象の特徴を利用した、固体が分散した酸化物懸濁液から電解による直接還元、金属生成プロセスの構築を進めている。塩化物に対して濡れ性が良い、TiO2などの酸化物固体粒子を溶融酸化物あるいは溶融塩に分散し、電解を行うことで直接金属チタンを生成する実験を進めている。電気炉と真空引き可能なガラス容器を組み合わせ雰囲気制御可能な溶融塩溶解炉を構築した。さらにこの溶解炉と電気化学測定システムを組み合わせ電解による懸濁酸化物の還元実験設備を構築した。この装置を用いて、チタン酸化物固体を懸濁したKCl-LiCl系溶融塩を生成し、炭素および金属電極に通電しながら、溶融塩を撹拌する実験を行っている。溶融塩中のチタン酸化物粒子は撹拌により電極に近接した際にTiへと還元されることが期待されたが、実際にサイクリックボルタンメトリーを用いて電極に接したチタン酸化物固体粒子が還元反応を起こすことが確認された。さらに継続的に還元反応を進行させれば電極上に金属Ti凝集することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
濡れおよび懸濁現象の特徴を利用した、TiO2固体が分散した酸化物懸濁溶融塩から電解によるTiの直接還元、金属生成プロセスの構築を進めている。これまでに実験装置を立ち上げ、TiO2固体を懸濁したKCl-LiCl系溶融塩を生成し、炭素および金属電極に通電しながら、溶融塩を撹拌する実験を行い、サイクリックボルタンメトリーを用いて電極に接したTiO2固体粒子が還元反応を起こすことが確認された。今後、エマルジョン制御による金属Tiの効率的な生成法を検討できる段階まで進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
濡れおよび懸濁現象の特徴を利用した、チタン酸化物固体が分散した酸化物懸濁溶融塩から電解によるTiの直接還元、金属生成プロセスの構築を進める。金属Tiが電極上に析出可能な条件探査を行い、溶融塩やチタン酸化物の供給方法、反応温度、通電条件の最適化を目指す。後半による接触の頻度および還元反応の速度に依存し生成するTiの物性が変化する可能性があるため、生成条件と生成したTiの状態との関係性も調査する。 上記の条件設定では金属Tiの生成反応が十分進行しない場合は、溶融塩の種類および電極材料の最適化も含めて生成可能な条件を広く探査する。
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