研究課題
余剰または不良ミトコンドリアの丸ごと隔離・除去は、進化的に保存された基本的な機構であり、オートファジーの仕組みを利用していることから、「マイトファジー」と呼ばれ、その破綻は様々な疾患を引き起こす可能性が提起されているが、詳細な分子機構は未だ多くの謎に包まれている。一方、タンパク質のユビキチン化および脱ユビキチン化は、タンパク質の翻訳後修飾の一つであり、細胞内で様々な役割を果たしているが、出芽酵母のマイトファジーやオートファジーとの関連は未解明な点が多い。本研究の目的は、出芽酵母のマイトファジーの制御において、ユビキチン関連経路がどのように機能しているかを明らかにすることである。とりわけ、脱ユビキチン化酵素(DUB)に着目し、それらの分子機能の解明を目指した。前年度までに、21種類のDUBをコードする遺伝子の破壊株を作成・解析し、Doa4およびUbp6の欠損細胞でマイトファジーが強く抑制されていることを見出した。本年度の研究において、Doa4およびUbp6の酵素活性を失った変異体を発現する酵母株を作成・解析した結果、遺伝子欠損株と同様にマイトファジーが野生株の30-40%に低下することがわかった。また、小胞体やペルオキシソームの選択的オートファジー、バルクオートファジーにも、Doa4およびUbp6が寄与していることを明らかにした。一方、細胞質から液胞へタンパク質を輸送する選択的オートファジー(Cvt経路)については、Doa4およびUbp6の欠損細胞は野生株と同様であった。なお、過去の研究から、Doa4およびUbp6の欠損細胞で遊離ユビキチン量が減少していることが報告されている。そこで、これらの変異細胞でユビキチンを過剰発現したところ、マイトファジーが野生株の60-70%にまで回復した。以上の知見から、マイトファジーは遊離ユビキチンを必要とすることが示唆される。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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