本研究は、1990年代から日本において新しい動きを見せている障害学を、経済学、とくにゲーム理論と結びつけ、総合社会科学としての社会・経済における障害の研究という新分野を構築することを目的としている。 研究の方法として、全体の研究を5つの分析グループに分け、それぞれに核となる研究者を配置している。各グループを有機的に連関させるため、1~2ヶ月に一度の全体会合を通じて、意見交換をしている。 制度分析グループ:国連の障害者権利条約の国内法へのインパクト等を内閣府の障害者制度改革推進会議の動きをリアルタイムで追いつつ、分析している。 事例・実験分析グループ:重複障害、女性障害者、顔にあざのある人々といった制度の狭間に落ち込む人々の事例研究をしている。「声」の効果の実験も行った。 計量(実証)分析グループ:国内調査では1000部強の調査票を回収した。回収率は57%に達した。長期疾病者の経済調査を行った。 歴史分析グループ:「近代化」のなかで「障害者」が生み出される歴史的過程を分析。 理論分析グループ:帰納論的ゲーム理論、量子論的ゲーム理論など、ゲーム理論の最先端を開拓しながら研究を進めている。障害の社会理論の構築を行いつつある。
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