研究課題/領域番号 |
19GS0207
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島川 祐一 京都大学, 化学研究所, 教授 (20372550)
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研究分担者 |
倉田 博基 京都大学, 化学研究所, 教授 (50186491)
菅 大介 京都大学, 化学研究所, 助教 (40378881)
齊藤 高志 京都大学, 化学研究所, 助教 (40378857)
木村 滋 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 副主席研究員 (50360821)
小口 多美夫 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90253054)
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キーワード | 固体化学 / 物質合成 / 微細加工 / 構造解析 / 電子状態計算 |
研究概要 |
本研究では「機能を意識した物質創製」を主眼に、「ものつくり」という化学の原点に、近年発展の著しいナノスケールレベルの視点を加えて発展させる物質創製研究を「精密固体化学」として展開してきた。今年度は、5年間の研究の総括としてのまとめとなる成果が幾つか得られた他、今後の発展に繋がる成果も得ることができた。 高圧法を駆使して、幾つかの新しいAサイト秩序型ペロブスカイト構造酸化物を見出した。また、LaCu_3Fe_4O_<12>と同様の「サイト間電荷移動」による巨大な負の熱望がBiNiO_3でも見出され、線熱膨張係数が従来材料の3倍に達することを明らかにした。人工超格子薄膜による物質作成では、CaFeO_<2.5>/SrTiO_3人工超格子を作成し、還元による酸素脱離が2次元平面内に制限されていることを明らかにし、燃料電池の電解質などへの応用展開の可能性を示した。評価技術に関しては、SPring-8において前年度までに開発した高速X線チョッパーシステムを使い、BaTiO_3単結晶に電界を印加し、圧電誘起による0.1pm/V程度の微小な格子変形の時間変化をマイクロ秒で測定することに世界で初めて成功した。また、電子顕微鏡観察では、原子分解能像を実空間解析することにより精密な原子位置を決定し格子歪みを導出する手法を開発し、5pm以下の精度での格子歪みの検出を実証したo理論計算からは、SPring-8で測定したスペクトルデータの解析を通して、実験グループが作成した新しい機能性材料の評価ができるようになった。特に、X線磁気円二色性(XMCD)や共鳴X線散乱のスペクトルの解析から、SrFeO_2、CaCu_3Fe_4O_<12>、BaV_<10>O_<15>などでの特異な機能発現の鍵となる電子状態を明らかにすることができた。電流-磁気機能複合相関に関する新機能探索研究は、今年度は研究協力の形で研究に参画してもらった。金属強磁性体に生じる磁気的な波(スピン波)の伝搬特性を電流によって変調できることを明らかにし、電子のスピンを用いたスピントロニクスの開発に必須となる基礎的な物質定数の決定に成功した。
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