我が国が主導する大型国際共同研究プロジェクトである統合国際深海掘削計画(IODP)において、その根幹となる研究面について、世界をリードする掘削研究として、海溝型巨大地震の発生メカニズムの解明(NanTroSEIZE)、海洋島弧の進化と大陸地殻形成過程の包括的理解(IBM)、マントル活動と地球システム変動のリンケージ(LIP/OAE)、マントルサンプルリターン(Mohole)の4つのプロジェクトを推進し、それぞれ以下の成果を得た: 1.NanTroSEIZE:海洋科学掘削史上初のライザー掘削に成功。地層テスター(応力・水圧計測)や2船式孔内地震波探査に成功するなど、固着域掘削へ向けて、実験、計測、分析の手法を高度化した。また、「ちきゅう」と「かいれい」を用いた2船式垂直地震探査(VSP)に成功し、掘削孔周辺および下部断層の特性が明らかにされつつある。 2.IBM:4つの掘削候補地点に対して高精度構造探査を実施し、国際ワークショップ等でその結果の解釈を行い、その成果を基に、IODP掘削提案の改訂を行った。微小域分析に必要不可欠なレーザー照射装置を導入し、ICP-MSおよびMC-ICP-MS装置と組み合わせた元素濃度・同位体比分析手法を確立した。 3.LIP/OAE:シャツキー海台・ボワーズ海嶺掘削航海に研究協力者を派遣し、LIP活動解析に必要な試料を確保した。また、OAE試料の高解像度地球化学・生物化学的解析を進めた。 4.Mohole:オマーンオフィオライトおよび西部太平洋域の典型的海洋地殻において、モホ面の多様性を明らかにした。これまでのデータをコンパイルし、Mohole掘削候補地点を3ヵ所設定した。
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