研究課題/領域番号 |
19GS1209
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 大阪大学, 工学研究科, 教授 (10181421)
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研究分担者 |
寺井 慶和 大阪大学, 工学研究科, 講師 (90360049)
西川 敦 大阪大学, 工学研究科, 助教 (60417095)
市田 秀樹 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 助教 (50379129)
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
太田 仁 神戸大学, 自然科学研究系先端融合研究環分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (70194173)
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キーワード | 希土類元素 / オプトロニクス / スピントロニクス / 半導体物性 / 先端機能デバイス |
研究概要 |
本研究では、希土類元素の添加母体としてIII-V族半導体を取り上げ、新機能デバイス創製は勿論のこと、原子レベルで制御された希土類ドーピング技術の構築や励起・緩和に係わるエネルギー伝達機構の解明を行う。また、磁気機能にも着目し、発光機能と磁気機能を有する新しいスピントロニクス材料としての可能性を明らかにする。また、そこで得られた精密制御技術とエネルギー伝達機構を基にして、安定で高効率な希土類添加窒化物半導体からなる新規蛍光体の創製を目指す。 1.Er原子周辺局所構造が秩序制御されたGaAs:Er,Oを活性層とするGa1nP/GaAs:Er,O/Ga1nPダブルヘテロ構造において、光励起下での1.5μm帯光の透過特性を評価したところ、透過光強度の増大が観測された。一方、希土類発光の可視域化を目的に、希土類元素としてEuを取り上げ、GaNやZnOへの添加を行った。OMVPE法によりEu添加GaNを作製し、それを活性層とした赤色LEDの室温動作に世界で初めて成功した。また、スパッタ併用MOCVD法を用いて作製したEu添加ZnOにおいてEu^<3+>イオンに起因する赤色発光を観測し、ZnO母体励起を介する間接励起の存在を明らかにした。 2.InGaN/GaGdN多重量子井戸(MQW)構造を成長し、室温ホトルミネセンス(PL)発光を観測した。キャリア誘起強磁性が抑制される構造のため、磁化の低下が確認された。一方、GaGdN/AlGaN MQW構造では、キャリア誘起強磁性が促進され、単層のGaGdNより大きな磁化が確認された。さらに、磁性原子による有効内部磁場のためPLピータは磁場中において大きなレッドシフトが観測された。 3.パルス強磁場施設(仏国、LNCMP)でGaAs:Er,O薄膜について行った55Tにおよぶパルス強磁場下発光測定結果の解析をすすめ、点電荷モデルに基づく結晶場計算からEr-2Oセンターの局所構造の情報を得ることに成功し、Er-2OセンターのOサイトだけでなく隣接するAsサイトにも歪みが生じていることを明らかにした。一方、本年度に導入した磁気特性測定システムにより、GdN薄膜の強磁性転移温度約30Kを決定することに成功した。
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