研究代表者は、東南アジアの無形文化遺産の現状把握と今後の課題の検証のため、無形文化遺産保護の主流化を目指すラオスで、文化的知識・表現・慣習・技術・産物等の無形文化とそれらに関与する人々の状態に関する対話的聞き取り調査をした。調査地では主に、村落の地縁関係や個人の社会的ネットワークを基盤に、知識・表現・慣習・技術・産物等が共有、実践、継承されていた。また年齢、ジェンダー等の個人の文化社会的属性が無形文化の分布に影響を及ぼしていた。課題として、開発と文化保護の二項対立が無形文化保護への自発的参加を困難にする可能性、超村落的公共財の概念化の難しさ、および集会的場での保護と活用の重要性が浮上した。
|