国立大学の法人化とともに、平成16年度から始まった公立大学の法人化の動きは、財政基盤の弱い自治体を設立団体とする公立大学にとっては、最小限の運営費交付金しか交付されないという避けがたい結果をもたらした。その中で、奈良医大は、不足する大学運営費を賄うため、収益部門となる附属病院からの一層の収益強化を求められることとなった。 大学病院が収益を求めれば、その周辺地域から強力に患者を集めることになり、大学病院の患者が増える反面、周辺の公立病院は、患者が減り経営悪化につながっていく。 これは、地域医療の課題として、単なる公立・公的医療機関の再編・統合だけでは解決できない要素があることを示している。
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