本年度の研究の手始めとして、まずは読書の利用用途における個別音響空間の効果の検証を試聴実験を通して行った。個別音響空間として、オープンな空間における個別音響空間はパラメトリックスピーカーを用いて提示音響空間を限定することで実現した。また、比較対象として、クローズな個別音響空間は同じ場所でイヤホンを用いた環境を用いることで実現した。その結果、読書好きな被験者は、クローズな個別音響空間の方が読書の熱中度が強くなる傾向を示した。しかし、読書嫌いな被験者はクローズな空間よりオープンな空間を好む傾向も示されていた。今後、単なる環境だけでなく、被験者の嗜好についても考慮した検証が必要であると考えられる。
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