1. 研究目的 本研究の目的は、年間を通して取り組むプロジェクト型学習の教材とその方法を開発することである。また同時に、こうした大掛かりなプロジェクト型学習が学習者の国語に関する関心・意欲にどのように影響し、またどのような言語技術・社会スキルの向上が図れるか、その評価方法を開発することも目的である。 2. 研究方法 本研究で扱ったプロジェクトは「写真展」である。生徒は通常の国語科の学習と並行する形で、取り組み、様々な小プロジェクト(ポスター、解説文作成など)を設定し、コンピテンシーの獲得を図った。 成果の検証は、生徒の興味・関心の高まりをアンケート(例 : 参加姿勢、計画性、協調性等)にて調査するとともに、生徒に課した学習レポートにおいて生徒自身がメタ認知しながら学習できているかを調査した。各小プロジェクトにおいてはコンピテンシーの獲得を測るためにルーブリックを用いてパフォーマンス評価を行なった。 3. 研究成果 アンケート調査においては、その他の国語科の授業(例えば、教科書掲載の文章の読解)などよりも「積極的な参加姿勢」が見られた。また、例えば話し合い活動の学習レポートにおいては自身の発言についてメタ認知し、「協調性」や「話し合いのゴール」という重要な要素に着目できている生徒が多く見られた。ルーブリックや学習レポートを用いた継続的な指導により、こうした「振り返りの観点」が学習者自身に身につくことで、それらを言語化することができるという成果が得られた。 こうした学習レポートを適切に整理し、保管していくことが学習者にとって有益であるといえる。つまり、大量の学習記録と洗練されたポートフォリオを用いていくことが、こうしたプロジェクトを有機的に繋げ、学習効果を高めることが有用であることが示唆される。今後の研究と実際的な運用に期待したい。
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