研究実績の概要 |
○研究目的 : 本研究では, 中学校技術科におけるGoogleアシスタント機能とシングルボードコンピュータのRaspberry Piを組み合わせたAIデバイスを活用する問題解決学習題材の開発と実践を行い, その有効性と課題を検証した。 ○研究方法 : AIは, 一部の機能に特化したものや汎用性の高いものなど適用範囲が多岐に渡り, 中学生の捉えも多様である。そのため, 本研究では中学生がイメージしやすいAIスピーカを教材とし, 簡易的なスマートホームの実現による家庭生活の改善と, これらを活用した技術の可能性と課題を考える授業を構成した。ここでは, ネットワークの構築や電気回路の設計・製作, プログラミングなど, 技術科の学習内容を統合的に扱うため, 授業実践の対象は中学校3年生とした。研究の進め方は次の順序で進めた。 1. 授業で使用するAIアシスタントの選定 2. 授業計画の作成, 教材準備(授業用AIスピーカ, ワークシート等の配布資料) 3. 授業実践(全10時間) 4. 授業実践と題材の評価(題材前後に実施する生徒アンケートと授業で使用したワークシートより) ○研究成果 : 題材前後のアンケート結果から次のようなことが読み取れた。授業前には, 中学生はAIに対して「難しそう」・「正しく扱えるか不安」といったネガティブな先入観を持っていた。しかし, 授業で使用するAIデバイスを, 家庭に普及しつつあり生徒に身近なAIスピーカとしたことで, 「アイデアをどんどん思いつくことができた」・「一人でも家で使ってみたい」といった主体的に学ぶ態度に転換することができた。また, 家庭生活の改善を取り上げたことで, 解決すべき問題が身近であり, 家屋や家族構成など様々な条件を生徒同士で考慮し合い, トレード・オフの関係性を見いだしながら問題解決に取り組むことができたため, 技術の見方・考え方の醸成に効果的であったことが分かった。
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