1. 研究目的 函館高専での工作実習で製作しているスターリングエンジンはロス機構を採用している。ロス機構は通常のクランク機構に比べてコンロッドの往復運動がピストン軸とほぼ水平に往復運動(近似直線運動)する。そこで本研究では、一般的な発電方法であるクランク機構の回転運動を利用せずにロス機構の直線往復運動を利用した電磁誘導による発電装置を開発することを目的とした。 2. 研究方法 使用するスターリングエンジンのボア×ストロークはφ15.5mm×20mmである。発電装置は往復運動するコンロッドの先に磁石を取付け、その磁石がコイルの中を出入りすることで発電する。発電装置本体はアクリルのレーザー加工および3Dプリンタで製作した。スターリングエンジンと発電装置とはコンロッドをネジ1本で接続できるようにした。銅線を巻くコイルは長さ10mmで簡単に脱着できるようにした。コイルに使用する銅線は0.06mmとし、500巻から3000巻まで500巻毎に6種類用意した。磁石の厚さは4mmとし、直径を10mmから20mmまで1mmずつ変化させ6種類のコイルについてそれぞれ電流値を測定した。実験はまずアルコールランプの火を熱源としてスターリングエンジンを回転させる。スターリングエンジンの回転数は1000rpmから1100rpmの範囲の中で測定することとした。回転数が測定範囲に達したら測定回路に結線し、1秒毎に5回電流値を測定した。またこの測定回路にはLEDも実装し点灯するか目視確認した。 3. 研究成果 用意した全ての種類の磁石について1500巻以上のコイルであればLEDが1個点灯する程度(最大30mmA)に発電した。しかし磁石の直径が大きくなるとその重量が出力の小さいスターリングエンジンにとって負荷となっていたようである。したがって、今回の結果から発電装置としては直径10mmの磁石を使用し、学生の製作したスターリングエンジンの出力に応じてコイル(巻き数)を変化させることが最適であるといえる。
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