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2019 年度 実績報告書

飢餓適応システムを担う新規分子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19H00299

研究代表者

岡田 千沙  東海大学, 伊勢原研究推進部, 一級技術員

研究期間 (年度) 2019
キーワードPhysarum polycephalum / Sclerotium / 質量分析
研究実績の概要

【背景・目的・方法】
森林に生息する真正粘菌(Physarum polycephalum)の変形体は, アクトミオシン系に制御された活発な原形質流動を示す。変形体は生育に不利な環境下で原形質流動を停止し, 耐性型細胞のスクレロチウム(Sc)へと分化する。生態系の一端を担う真正粘菌の変形体が飢餓ストレスに応答して運動を停止し冬眠状態に遷移するメカニズムを明らかにすることは, 細胞運動の制御・ストレス環境耐性型細胞の構築解明を通してストレスの受容・認識応答ならびにそのシグナル伝達機構の解明に非常に重要な知見を得る事ができる。
私達はこれまで, 原形質流動停止に関与する新規のリン酸化ミオシン脱リン酸化酵素を報告した。しかしこれは, 変形体からSc形成時の飢餓ストレス応答に関与する多くのシステムのうちの一つに過ぎない。
そこで本研究では変形体からSc形成過程に関わる他の分子を質量分析および飢餓応答に関わるオートファジー関連タンパク質を候補としてウェスタンブロッティング法により探索し, 飢餓ストレス応答のメカニズムをさらに解明していくことを目的とした。
【結果】
変形体からSc形成過程で得られた試料から発現量が変化する21分子を質量分析にて解析したところ, 20分子が同定された。そこには真正粘菌に特異的なprofilin-P, calmodulin, Chaperon protein, pDG1, spherulin-3A, physarolisin, plasmin C, LAV1-2が含まれていた。さらにオートファジー関連分子5種類(Atg5, Atg7, Beclin, p62, LC3)のうち, p62とLC3の発現量が変化した。
【考察・今後の課題】
質量分析で解析された分子のうち, profilin-Pおよびcalmodulinはアクトミオシン系に存在し, Chaperon proteinはタンパク質のフォールディングに関与する。その他のpDG1, spherulin-3A, physarolisin, plasmin C, LAV1-2は機能がまだわかっていないが, 変形体からSc形成に関与することが本研究から示唆された。さらにオートファジー関連分子であるp62とLC3が変形体からSc形成過程において関与する可能性も得られた。
これらの分子の関連性をさらに調べていけば各分子の役割が明らかになりメカニズムが解明され, 飢餓応答に関与する細胞内での分子リモデリングが明らかになる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Myocardial lipofuscin accumulation in ageing and sudden cardiac death2019

    • 著者名/発表者名
      Yu Kakimoto, Chisa Okada, Noboru Kawabe, Ayumi Sasaki, Hideo Tsukamoto, Ryoko Nagao, Motoki Osawa
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1038/s41598-019-40250-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SAM68-Specific Splicing Is Required for Proper Selection of Alternative 3' UTR Isoforms in the Nervous System2019

    • 著者名/発表者名
      Yoko Iijima, Masami Tanaka, Satoko Suzuki, David Hauser, Masayuki Tanaka, Chisa Okada, Masatoshi Ito, Noriko Ayukawa, Yuji Sato, Masato Ohtsuka, Peter Scheiffele, Takatoshi Iijima
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 20 ページ: 318-335

    • DOI

      10.1016/j.isci.2019.11.028

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Profiles of Physarum Microplasmodial Phosphatase Activity Crucial to Cytoplasmic Streaming and Spherule Formation2019

    • 著者名/発表者名
      Chisa Y Okada, Akio Nakamura, Kyoko Ogawa, Kazuhiro Kohama, Takako S Kaneko
    • 雑誌名

      Cell Biochem Biophys

      巻: 77 ページ: 357-366

    • DOI

      10.1007/s12013-019-00885-2

    • 査読あり
  • [学会発表] Autophagy constitutes an attractive therapeutic target for the treatment of hepatocellular carcinoma under hypoxic conditions.2020

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Owada, Hitoshi Endo, Chisa Okada, Yukari Shida, Masayuki Tatemichi
    • 学会等名
      第90回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      誌上開催

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公開日: 2021-01-27  

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