研究成果の概要 |
真正粘菌変形体は, 飢餓等の生育に不利な環境下で活発な原形質流動を停止し, 耐性型細胞へと分化する。このメカニズムの解明は, 森林環境維持・保全等に非常に重要である。申請者はこれまで, 原形質流動停止を引き起こす新規ミオシンホスファターゼを発見し報告した。そこで本研究では次に, 飢餓ストレス応答のメカニズムをさらに明らかにする為, ウェスタンブロッティングおよび質量分析によるプロテオーム解析により関連分子を網羅的に探索した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
真正粘菌(Physarum polycephalum)変形体は, 飢餓等の生育に不利な環境におかれると活発な原形質流動を停止し, 耐性型細胞のスクレロチウム(以下, Sc)へと分化する。真正粘菌はこれまで, 環境指標となりうることが報告されてきた。生態系の一端を担う変形体が飢餓ストレス(環境)に応じて運動を停止し冬眠状態に遷移するメカニズムの解明は, 土壌・大気汚染や生物の絶滅危機等の環境変化の指標に繋がる為, バイオーム(生物群系)を含む森林環境維持・保全等に非常に重要であり, これが本研究の核心をなす学術的「問い」である。
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