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2019 年度 実績報告書

毛髪を用いた睡眠薬摂取歴の証明に係る薬物摂取量の推定法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H00337
研究機関大阪府警察本部科学捜査研究所

研究代表者

志摩 典明  大阪府警察本部科学捜査研究所, 主任研究員

研究期間 (年度) 2019
キーワード睡眠薬 / 毛髪 / 摂取量推定
研究実績の概要

分析試料の1つとして挙げられる毛髪は、性犯罪事案で被害申告が遅れたケースでは薬物検出が可能な唯一の試料であるほか、摂取時期の証明にも有用な試料である。これまでに我々は、薬物の摂取時期を証明するうえで欠かせない毛髪中への薬物の取り込み経路について、MALDI-MSによるイメージング分析及びLC-MS/MSによる定量分析を活用して検討を重ね、薬物は少なくとも2つの経路{経路① : 毛球部位(毛根の底部)、経路② : 頭皮近接部位(毛根の上部)}を介して取り込まれることを示した。
本研究ではさらに、裁判で重要視される「薬物摂取量」(睡眠作用を発現していたか判断するために必要)の推定法について検証した。毛髪中への薬物の取り込み量は、メラニン色素(毛髪の黒色色素)が深く関与するため、人種差や個体差が大きく、毛髪中の薬物濃度から「薬物摂取量」を正確に推定することは困難であると考えられている。しかしながら、白髪(メラニン色素を含有しない毛髪)を用いた研究から、経路②からの取り込みにはメラニン色素が関与しないことが示された(経路①は顕著に関与する)。つまり、経路②の「頭皮近接部位から取り込まれた薬物量」を測定することで、精度良く「薬物摂取量」を推定できる可能性が高い。そこで、「薬物摂取量」と「頭皮近接部位から取り込まれた薬物量」の関係を観察し、本研究で提案する「薬物摂取量」推定法の精度について検証した。
毛髪試料は、1ヶ月の間隔をとって3回{3段階の服用量(1錠、1/3錠、1/10錠)}で摂取した被験者3 名から採取して、それぞれ分析を実施した。その結果、「薬物摂取量」と「頭皮近接部位から取り込まれた薬物量」は良好な比例関係を示しており、概ねの薬物摂取量を推定できることが示された。今後はさらに分析本数を増やして毛髪中分布量のバラつきを示すと共に、白髪中の分布量を解析して考察する必要がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 法科学分野における毛髪中の薬物鑑定2019

    • 著者名/発表者名
      志摩典明、佐々木啓子、鎌田徹、三木昭宏、片木宗弘
    • 雑誌名

      YAKUGAKU ZASSHI

      巻: 139 ページ: 705-713

    • 査読あり
  • [学会発表] デートレイプドラッグの現状と課題-科学捜査研究所の取り組み-2019

    • 著者名/発表者名
      志摩典明
    • 学会等名
      日本法中毒学会第38年会
    • 発表場所
      福岡大学(福岡県)
    • 年月日
      2019-07-26

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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