抑肝散は近年使用量が増えた漢方薬である。主に認知症患者の周辺症状改善を目的に投与されてきたが、最近では周術期のせん妄予防にも投与される。抑肝散の副作用として低カリウム(K)血症が知られており、そのリスク因子として低アルブミン(Alb)血症がある。周術期は低Alb血症を伴う場合が多いことから、周術期症例を含む抑肝散投与患者を調査し、低K血症の発症に及ぼす影響を明らかにした。その結果、抑肝散の周術期投与が、認知症への投与よりも低K血症のリスクが高まることが示唆された。特に周術期のせん妄予防を目的に抑肝散を女性患者に投与する場合、Alb値に応じて減量を考慮する必要があると考えられた。
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