研究成果の概要 |
本研究は, 急性腎障害(AKI)における尿沈渣検査の有用性検証, およびAKIの新規バイオマーカーとの関連を解析することを目的とした. 本研究の結果, L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)は尿沈渣中の尿細管上皮細胞数, 硝子円柱数, 顆粒円柱数, 上皮円柱数と正の相関を示し, 好中球ゲラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)は尿細管上皮細胞数, 顆粒円柱数と正の相関を示した. さらに対象サンプルをAKI, 非AKI群に分類し, 尿沈渣成分によるAKIの診断能を評価した結果, 顆粒円柱が最も有用な指標と考えられた. 以上より, 尿沈渣検査はL-FABPやNGALと関連し, AKI診断において有用な指標のひとつと考えられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
尿沈渣検査は簡便かつ安価な検査であり, L-FABPやNGALといったバイオマーカーの測定に比べ, 施設規模によらず実施可能であるという利点がある. 本研究の結果から, 尿沈渣成分とバイオマーカーの関連が示され, 尿細管上皮細胞や各種円柱の種類や出現数を評価することが, AKIの病態把握に有用な可能性が示唆された.
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