薬剤師をはじめ医療者による健康食品の適切な情報提供や注意喚起等の関与が不十分である実態から、患者が自己判断で健康食品を利用し、不適切な利用や健康被害事例が報告されている。薬物治療を受けている患者の多くは外来通院である。そこで、薬局薬剤師による健康食品利用患者に対する薬学的管理指導業務の標準化を目的に、業務実態とその問題点を検証するため本研究を計画した。 まず、薬局薬剤師に対して「健康食品薬学的管理のための勉強会」と業務実態についてのアンケートを実施した。薬剤師が健康食品の薬学的管理を困難と感じる項目は、重要度の高い順に「製品の詳細不明(特定困難)」、「患者への健康食品利用の判断」が挙げられた。勉強会で「特に参考になった」内容では、「信頼できる情報源からの情報収集」の回答が最も多かった。 続いて、健康食品利用状況の把握、評価・判断、指導介入の業務をサポートする「管理指導ツール(問診票、有効性・安全性に関するエビデンス、患者説明用リーフレット等)」を作成した。7店舗12名の薬剤師を対象に管理指導ツールを実際に使用してもらい、その後の薬学管理実施状況の意識変化についてアンケートを実施した。回答した薬剤師の75%が、健康食品に関する患者対応時間および頻度が「以前より増えた」と回答した。使用前後で、「健康食品の利用と治療への不利益の判断」、「信頼できる情報源からの情報収集」等の項目において有意に変化が見られた。一方で、問診票に記載された製品の詳細が分からない、製品の有効性および品質に対する信頼性をどのように判断してよいか分らないといった意見も挙げられた。 健康食品の薬学的管理における問題として、健康食品の安全性・有効性の情報収集と評価・判断方法、さらに製品情報の不足および品質の信頼性の評価方法が抽出された。これらを踏まえた薬学的管理業務の標準化が必要と考えられた。
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