研究課題
奨励研究
有害事象自発報告データベースを用いて、口内炎の発現リスクを低下させる可能性のある薬剤をスクリーニングした結果、8剤が候補薬として選抜された。次に、ヒト口腔ケラチノサイト細胞に対して、5-フルオロウラシル(5-FU)および候補薬を添加し、細胞生存率を検討した結果、3剤の候補薬で5-FU添加による細胞生存率の低下が軽減された。今後は、選抜された候補薬についてin vivo研究などを実施し、有効性をさらに検証していく予定である。
抗がん剤誘発性口内炎は、がん患者のquality of life(QOL)を著しく損なうだけでなく、抗がん剤の減量や中止の原因となる。しかしながら、抗がん剤誘発性口内炎の根本的な治療薬は開発されておらず、治療薬の開発が社会的に求められている。本研究において、口内炎治療に有効である可能性が示された候補薬が、実臨床で使用可能となることで、がん患者のQOLが改善することに加え、抗がん剤治療の減量や中止を防ぐことができる可能性がある。
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