高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)測定は、急性心筋梗塞の診断補助として有用であるが、明らかな心疾患のない慢性腎臓病患者で高値となる例を多数認め診断に影響する。本年度は、eGFRcys(腎機能を意味する)が低下することでhs-cTnTの増加傾向を認めることを確認した。また、腎臓の尿細管と呼ばれる組織の障害マーカーと尿を遠心して得られる尿沈渣成分、他の検査データおよび疾患との関連性を精査したデータから、腎機能を調べる際の一般的指標である血清クレアチニンの経年変化率よりも血清シスタチンCの経年変化率の方が急性冠症候群発症とより強い関連を認めた。本研究成果を日本臨床化学会学術集会にて報告した。
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