研究課題
研究目的 : 精神疾患の病因病態において、免疫系の関与が注目されている。うつ病や統合失調症などの精神疾患患者の死後脳や精神疾患モデルマウスにおいて脳内に慢性炎症像を示すことなどの報告から、精神疾患の病因を炎症と考える神経炎症仮説が唱えられている。しかし精神疾患の病態は未だ不明な点が多く、免疫と脳機能の関わりも不明な点が多い。本研究では脳と免疫の関係を明らかにする手段として、免疫不全マウスに着目した。Foxn1に変異を持ち細胞性免疫不全のヌードマウスや、液性免疫も不全であるRag2欠損マウスは様々な研究でもちいられているが、免疫不全自体がマウスの脳機能にどのような影響を与えているかは殆ど調べられていない。そこで、脳機能と免疫の関係を解明するための基礎的なデータとして、免疫不全マウスを用いた網羅的行動テストバッテリーによりその行動特性の解析を試みた。研究方法・成果 : C57BL/6系統を背景とするC57BL/6 nu/nuに対しC57BL/6 wt/wtを対照群とする行動解析のための実験群作製を行った。実験操作以外の条件、週齢、性別、遺伝的背景、成育環境などの条件を統制するためnu/wtの卵子と精子を体外受精し、仮親のICRに胚移植を行い、同腹仔187匹を得た。しかし、生後2週間ほどで多くの個体が死亡し、そのほとんどがnu/nu個体であり行動実験に十分なサンプル個体が得られなかった。日和見感染を想定し、飼育管理の見直し、再度実験群の作製を試みた。また、発育の差を是正すべく、養母交換を行うことで母親が保育するnu/nu仔マウスの比率を高めるなどの措置を試みたが改善はみられず、今後は自然繁殖による実験群の作製と他の免疫不全マウスでの実験群作製を試みていく予定である。
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Translational and Regulatory Sciences
巻: 1 ページ: 46-57
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Journal of Investigative Dermatology
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