研究実績の概要 |
アンジェルマン症候群の原因遺伝子Ube3aにおける遺伝子多型を、マウスSNPデータベース(https://www.sanger.ac.uk/sanger/Mouse_SnpViewer/rel-1505にて検索した。C57BL6とPWKマウス間で8個のSNPs(rs33014404, rs51275663, rs51599668, rs233400366, rs46432366, rs248854698, rs48971506, rs49512826)を確定し, それぞれLNA(Locked Nucleic Acid)TaqManプローブをデザインした。すべてのプローブでC57BL6とPWKにおけるSNPを特異的に認識することをドロップレット・デジタルPCR(ddPCR)法で確認した。これらのプローブを用いてddPCR法にて、C57BL6とPWKとの仔(F1)の組織におけるUbe3aの発現を解析した所、脳以外のすべての組織で両親のアレルから等しく発現を確認し、成体脳においては父親アレルからの発現は10-14%であり、脊髄では20%であった。一方父親アレルからのみ発現するUbe3aアンチセンス鎖であるUbe3a-ATSはUbe3aの60-70%の発現量であった。またUbe3aの上流にUbe3aの5'-UTRとオーバーラップして、Ube3a-ATSと同じ転写方向に新たな転写産物を同定した。この新たな転写産物は脳以外では両アレルから等しく発現しているが、脳では父親優位に発現していた。Ube3a-ATSはUbe3aの上流にも存在することが示唆されているが、この新規の転写産物は、一部Ube3a-ATSとオーバーラップしていると考えられた。今後アンチセンス核酸治療による治療効果をUbe3a-ATSの絶対的発現量にて評価するが、Ube3aとの発現相関を考える上で重要な基礎データを得ることができた(論文投稿中)。
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