研究課題
慢性腎臓病(chronic kidney disease ; CKD)は、病期の進行に伴い、尿毒症物質が体内に蓄積する。尿毒症物質の中で最も毒性が強いインドキシル硫酸は、タンパク結合性が高いために透析で除去することが困難であり、CKD患者の体内に蓄積し続ける。インドキシル硫酸の蓄積により腎皮質におけるコラーゲンやコラーゲン合成・分解因子の発現が増加し、糸球体硬化を引き起こすことが報告され、インドキシル硫酸の体内蓄積と腎線維化の亢進が強く関連することが明らかになっている。我々は、5/6腎摘除CKDモデルラットに対する12週間の長期的走行運動が、5/6腎摘除CKDモデルラットの腎皮質において増加したコラーゲンやコラーゲン合成・分解因子を有意に減少させることを明らかにした。しかしながら、運動によるCKDにおけるインドキシル硫酸体内蓄積への影響は明らかでない。本研究は、CKDモデルラットを用いて、運動によるインドキシル硫酸の体内蓄積への影響を明らかにすることを目的とした。方法は、6週齢の雄性Sprague-Dawleyラットに対し、5/6腎摘除もしくは偽手術を行い、10週齢時に無作為に1)非運動群、2)運動群に分け、さらに3)偽手術群を加えた計3群に12週間にわたって実験を行った。収縮期血圧、尿蛋白、血清クレアチニン、血漿尿素窒素、血漿インドキシル硫酸濃度を測定し、腎組織像を解析した。CKDは、収縮期血圧、尿蛋白、血清クレアチニン、血漿尿素窒素、インドキシル硫酸濃度、糸球体硬化指数、相対的間質容積比、腎線維化割合を増加させ、運動はそれらを有意に改善させた。以上の結果から、CKDモデルラットにおける運動によるインドキシル硫酸体内蓄積への有効性の可能性が示された。
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Hypertension
巻: 75 ページ: 1447-1454
10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.13905