研究成果の概要 |
関節リウマチ(rheumatoid arthritis : RA)は関節滑膜を病変の主座とする全身性の慢性炎症性疾患であるためサルコペニアのハイリスク患者であると考えられる. RA患者において関節滑膜の炎症は関節破壊を進行させるが, TNF阻害薬などの生物学的製剤の登場により, 関節破壊を防ぐことが可能となってきた. 本研究では, RA患者における疾患活動性とサルコペニア罹患率, および使用製剤との関連性について検討を行った結果, RA患者ではサルコペニアの罹患率が高かった. 今回の検討において使用薬剤とサルコペニアの関連性については明らかにすることが出来なかったが, 疾患活動性の高い群ではサルコペニア陽性率が有意に高かった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本は超高齢化社会を迎えており, サルコペニアなど高齢者の筋力低下は様々な有害健康転帰に影響を及ぼす. 本研究では, RA患者を対象に検討を行い疾患活動性のtight-controlは関節破壊の防止だけでなく, サルコペニア防止に寄与できる可能性を示した. 今回関節滑膜炎の評価に超音波検査を用いたが, 今後, 超音波検査などによって簡便に骨格筋の定量評価が出来ればサルコペニアの予防など国民の健康増進に貢献でき, 健康・福祉分野における波及効果は非常に大きいと考える.
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