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2019 年度 実績報告書

ポストトゥルースの時代における新しい情報リテラシーの学際的探求

研究課題

研究課題/領域番号 19H00518
研究機関名古屋大学

研究代表者

久木田 水生  名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10648869)

研究分担者 大澤 博隆  筑波大学, システム情報系, 助教 (10589641)
藤原 広臨  京都大学, 医学研究科, 講師 (10599608)
林 秀弥  名古屋大学, アジア共創教育研究機構(法学), 教授 (30364037)
伊藤 孝行  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50333555)
大谷 卓史  吉備国際大学, アニメーション文化学部, 准教授 (50389003)
笹原 和俊  名古屋大学, 情報学研究科, 講師 (60415172)
中村 登志哉  名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (70382439)
村上 祐子  立教大学, 人工知能科学研究科, 教授 (80435502)
唐沢 穣  名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90261031)
平 和博  桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (30847603)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードAI倫理学 / データ倫理学 / フェイクニュース / ソーシャル・メディア
研究実績の概要

本研究は、近年深刻さを増しているインターネット上のフェイクニュース、ヘイトスピーチなどの問題、あるいはソーシャルメディアなどで生じる極化、エコーチェンバー、フィルターバブルなどの問題に対して、一方では心理学、精神医学、計算社会科学、メディア研究などの実証アプローチからそのメカニズムを解明し、他方では情報哲学、情報倫理学、情報法など、社会の制度や規範を設計するアプローチによって効果的な対策を考えながら、人々の情報リテラシーを高めるための方法論やツールの開発、実践を行うものである。本年度は、特に近年発達が著しい人工知能やデータサイエンスがこの問題に対してどのようなかかわりを持っているかを探求した。私たちはインターネット上のプラットフォーム(ニュースメディア、ソーシャルメディア、検索エンジン)によるユーザー情報の収集、それに基づいた機械学習によるカスタマイズされた情報推薦の問題を様々な分野の観点から研究を行い、その問題点について社会への発信を行った。近年、人工知能によって引き起こされる不公平や差別が問題となっているが、この問題もプラットフォーム企業のビジネスモデル、人工知能やビッグデータなどのテクノロジーの特性、意図的な悪用、人々の情動の暴走などが複雑に絡み合って生じていることが分かってきた。また科学的に誤った情報を信じる人間の心理、陰謀論を信じる人間の心理や行動についての研究から、社会的孤立などのより大きな問題に取り組む必要が見えてきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

インターネット上のデータを利用した研究、あるいは文献の調査などは順調である。一方で新型コロナウィルスの影響により、人を集めての実験、海外の研究者との交流や情報交換、国内においても研究会やネットワーキングは思ったようにできなかった。途中からは研究者同士の交流や社会への発信はビデオ会議システムを利用して行うように切り替えた。今後は新型コロナの流行の状況を見ながら、オンラインでの研究活動をより充実させる予定である。

今後の研究の推進方策

諸分野で明らかにされた知見を総合しながら、問題の全貌のさらなる解明とともに、効果的な対策についての研究を進めていく。また情報の質、コミュニケーションの質を向上させるという目的に取り組むために、そもそもコミュニケーションとはどのような目的をもって行われるものであるかという、コミュニケーションの「価値」の問題にもフォーカスを当てていく予定である。さらにソーシャルメディアをめぐる問題の背景として、近代になって変容した家族や友人の在り方の問題、社会的孤立の問題があることも分かってきたので、この問題についても掘り下げて研究を進めていく。また今後は新型コロナの流行の状況を見ながら、オンラインでの研究活動をより充実させる予定である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 人工知能と人間のよりよい共生のために2020

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 雑誌名

      RAD-IT21 WEBマガジン

      巻: 0 ページ: 0

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] How Competition Law Should React in the Age of Big Data and Artificial Intelligence2019

    • 著者名/発表者名
      Shuya Hayashi, Koki Arai
    • 雑誌名

      The Antitrust Bulleti

      巻: 64(3) ページ: 447-456

  • [雑誌論文] 人工知能の倫理と社会2019

    • 著者名/発表者名
      村上祐子
    • 雑誌名

      人工知能

      巻: 34 ページ: 176-185

  • [雑誌論文] ソーシャルメディアにおける道徳的分断:LGBTツイートの事例2019

    • 著者名/発表者名
      笹原 和俊、杜 宝発
    • 雑誌名

      社会情報学

      巻: 8 ページ: 65~77

    • DOI

      10.14836/ssi.8.2_65

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] SNSは想定外のものをもたらしていないか?2019

    • 著者名/発表者名
      大谷卓史
    • 雑誌名

      『いまを生きるための倫理学』

      巻: 0 ページ: 124-125

  • [学会発表] ディープフェイクス 高まる脅威とジャーナリズムの戦い2019

    • 著者名/発表者名
      平和博
    • 学会等名
      ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)セミナー
  • [学会発表] Moral Evaluation over an Extended Notion of Agency2019

    • 著者名/発表者名
      Yuko Murakami
    • 学会等名
      International Conference of the European Academy of Management and Business Economics XXVIII
    • 国際学会
  • [学会発表] エコーチェンバー化するSNSの計算社会科学2019

    • 著者名/発表者名
      笹原和俊
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミクス学会第66回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 海外公共放送の現状と課題―ドイツの事例を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      中村登志哉
    • 学会等名
      シンポジウム「インターネット時代の公共放送と法―分断の克服を目指して」
  • [学会発表] Who knows?: Artificial intelligence and the transformation of science2019

    • 著者名/発表者名
      Minao Kukita and Makoto Kureha
    • 学会等名
      Society for Philosophy of Technology 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 人工知能による社会の変容:コミュニケーションの観点から2019

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 学会等名
      AI社会論研究会サマースクール
    • 国際学会
  • [図書] 人工知能と人間・社会2020

    • 著者名/発表者名
      稲葉 振一郎、大屋 雄裕、久木田 水生、成原 慧、福田 雅樹、渡辺 智暁
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      978-4-326-10280-8
  • [図書] 情報法概説2019

    • 著者名/発表者名
      曽我部 真裕、林 秀弥、栗田 昌裕
    • 総ページ数
      480
    • 出版者
      弘文堂
    • ISBN
      978-4-335-35764-0
  • [備考] 名古屋大学教員データベース

    • URL

      https://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/html/100007837_ja.html

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公開日: 2021-12-27  

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