研究課題/領域番号 |
19H00533
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 英男 東京大学, 史料編纂所, 教授 (40182456)
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研究分担者 |
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60376639)
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70251478)
大隅 清陽 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80252378)
伴瀬 明美 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (90292797)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歴史情報データベース / 編年史料 / 平安時代史 / 史料編纂 / 歴史研究基盤整備 |
研究実績の概要 |
本研究は、データベース(DB)の存在が日本史研究にとって不可欠となりつつある状況を受け、研究支援の面で画期的な効果をもたらす次世代歴史情報DBを構想するものであり、史料編纂所歴史情報処理システムSHIPS上に「データ繋留型編纂支援・資源化システムMIDOH」と「歴史情報コールシステムHICAL」を開発することで、①史料の編年解析(編纂)・研究支援、②従来から蓄積されてきた成果と融合させた形のデータ公開、③電子媒体でこそ可能となる研究利便性の提供という3つの効果をもたらし、実際にも平安時代史料に焦点を当てた史料解析作業を進行させることでシステムの効果を検証し、平安時代史の研究環境高度化を図ることを目的とする。 このため、1)MIDOH及びHICALの構築・運用、2)平安時代編年体史料集のデジタルデータ化とMIDOHによるその公開・発信、3)MIDOH・HICAL及び関連システムを利用した平安時代史料の編年解析の拡張と解析成果の公開・発信を研究期間中に実施する。 2021年度に達成した内容は次のとおりである。1)前年度までに開発したMIDOHのプロトタイプシステムから改良した本システムの構築を完了し、入力校正システムの整備と検索公開システムの開発を行った。あわせてHICALの仕様検討と開発打合せを実施した。また生成済の既存編年史料集データの登録作業を進行させた(約34000件)。2)自治体史及びその他の編年史料集・年表等から、平安時代編年史料データの生成を行った(綱文・書目・書誌情報、約7300件)。3)平安時代史料の編年解析データを生成・蓄積した(約8400件)。また解析成果の公開方法として、『大日本史料』の形態に準拠してMIDOHを通じて利用するデジタル形式の史料集『九世紀編年史料』の編纂を開始し、綱文約500件、史料テキストデータ約1000件を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム開発では、2020年度以降の新型コロナウイルス感染症拡大が未だ収束しない状況の影響等でスケジュールに若干の遅れが生じたが、所要の対応をとることで年度内に予定を完了することができた。編年史料集データの生成・蓄積・登録は順調に進行している。解析成果の公開では、デジタル形式の史料集『九世紀編年史料』の編纂を開始し、MIDOHによって提供する計画をスタートさせたことは特記すべき進展である。
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今後の研究の推進方策 |
1)MIDOHについて、試験運用を経た上で本運用に移行し、大日本史料・自治体史等の既存の編年史料集の成果と、下に述べる新規の編年解析成果とを融合させた歴史情報データベースの公開を開始する。MIDOH及びSHIPS既存DBと連携して機能するHICALのシステムを構築し、供用を開始する。2)引き続き既存の編年史料集データのMIDOHへの登録を進行させる。特に自治体史の編年史料集について、全国網羅的なデータ整備とMIDOHによる公開を進め、それらを学術資源化するためのプラットフォームを提供する。3)平安時代史料の編年解析データの蓄積を引き続き拡張させる。解析成果の公開を図る一つの方法として、デジタル形式による編年史料集『九世紀編年史料』の編纂を進め、MIDOHを通じて公開する。
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