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2022 年度 実績報告書

19世紀を中心とした軍事的学知をめぐる人と書物の交錯

研究課題

研究課題/領域番号 19H00547
研究機関早稲田大学

研究代表者

谷口 眞子  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70581833)

研究分担者 中島 浩貴  東京電機大学, 理工学部, 准教授 (00599863)
竹本 知行  安田女子大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (00631904)
小松 香織  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
丸畠 宏太  敬和学園大学, 人文学部, 教授 (20202335)
斉藤 恵太  京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20759196)
柳澤 明  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50220182)
長谷部 圭彦  東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (60755924)
原田 敬一  佛教大学, 歴史学部, 名誉教授 (70238179)
佐々木 真  駒澤大学, 文学部, 教授 (70265966)
吉澤 誠一郎  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80272615)
鈴木 直志  中央大学, 文学部, 教授 (90301613)
小暮 実徳  順天堂大学, 国際教養学部, 先任准教授 (90537416)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード19世紀 / 軍人 / 書物 / 学知 / 移動 / 戦争 / 情報 / 外交
研究実績の概要

2022年度は公開講演会を4回、科研集会を8回、公開科研集会を1回、代表者会議を1回開催した。本科研の研究成果を、地域振興プロジェクトにかかわって公開科研集会として発表したほか、代表者が西周の特集テレビ番組に出演し、研究成果の一端を一般社会に還元できたのは幸いだった。最終年度の成果発表について、海外ではリール大学(フランス)でシンポジウムを開催し、国内では『軍事史学』特集を企画するので、その準備に入った。
①早稲田大学高等研究所との共催による公開講演会は、ハイフレックス方式で行った。2021年4月に「藩・旧藩社会にみる「文明」―下総佐倉藩の事例から」、7月に「オスマン帝国の「小戦争」と暴力」、10月に「ペルビチン(覚醒剤)と独日関係―第二次世界大戦期を中心に―」、2021年1月に「日本陸軍のグローバルな戦略・謀略と日独防共協定」の4回である。
②科研集会はハイフレックス方式で5回、zoom形式で3回、全部で8回実施し、代表者会議は新潟で1回開催した。
③公開科研集会を2022年8月に、岡山県津山市の津山洋学資料館の支援を得て同館で開催し、あわせて津山市の洋学関連史跡を視察した。これは、2021年度に代表者が行った島根県津和野町での講演と連動した企画で、「蘭学・洋学三津同盟」(幕末・維新期に優れた蘭学者・洋学者を輩出した島根県津和野町・岡山県津山市・大分県中津市による地域振興プロジェクト)にかかわるものである。また、BS松竹東急「号外!日本史スクープ砲 智の巨人 西周」(2022年12月11日(日)21:00~22:00放送)に代表者が出演した。
④最終年度の2023年度にフランスのリール大学で本科研のシンポジウム「19世紀の軍事的学知」を開催するため、その準備に入った。また『軍事史学』特集号の企画を考えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①1年間で4回の公開講演会、8回の科研集会、1回の公開科研集会、1回の代表者会議を開催した。対面中心で一部がオンラインのフレックスと、オンラインのみの開催という2方式を、目的に応じて利用しながら実施できた。コロナ終息後も、コロナ禍で得た通信技術を利用して研究を進めたい。
②データベース作成については、軍事関連書の翻訳について課題を抱えている。翻訳の段階で原著者や原書の題名を書かないことが多く、さらに重訳されて日本に輸入されることもあるため、原書を特定するのが難しいという問題である。コロナのため海外史料調査が行えず、現物がみられないこともあるが、特に翻訳が抄訳の場合、内容から推測するのも限界がある。著作権という意識がない中、軍事的学知がグローバルに広がっていくことをどのように理解するか、戦争の性格や国制のあり方も射程に入れて考えていきたい。
③2021年に代表者が津和野町で講演を行った際、視聴者の津和野町長より「蘭学・洋学三津同盟」締結の話を聞いた。偶然にも、同年に研究分担者が津山洋学資料館で史料調査を実施し、この同盟の推進者の一人である津山洋学資料館元館長と交流していたことから、図らずも津山市での公開科研集会が実現した。さらに津和野町での講演をきっかけに、代表者が西周の特集テレビ番組に出演することになるなど、人間関係のつながりから、研究計画になかった一般社会への科研の成果還元ができて有意義だった。
④最終年度の2023年度にはフランスのリール大学でシンポジウムを開催するため、海外研究協力者とその準備を始めた。また、当初の研究計画にはなかったが、研究分担者からの提案により、『軍事史学』の2024年度第1号に特集「軍事的学知の国際交流」を企画・掲載することが決まり、その準備に入った。

今後の研究の推進方策

①データベースについては、コロナ禍により海外史料調査が予定より1年遅れたため、作成に支障が生じている。さらに、「8.現在までの進捗状況」③で述べた大きな課題に直面しているため、原書の特定に予想以上の時間がかかると見込まれる。現時点では、各自が作成しているデータベースをドロップボックスで共有するため、作業用共有データファイルを設けている。今後は、軍事関連書の翻訳情報を、言語の違いを越えて共有することから始めたい。
②早稲田大学高等研究所との共催による公開講演会は、4月に「仙台藩儒大槻磐渓のペリー来航絵巻「金海奇観」に見る西洋の軍事・文明情報」、12月に「(仮)グローバル・ヒストリーとしてのデンマーク戦争・独仏戦争」の2回、開催する予定である。科研集会は5回開催し、そのうち1回は、元陸軍大学校教官だった研究者を招いて報告を聞くことになっている。代表者会議は東京で8月上旬に1回開催する。
③最終年度の研究成果取りまとめとして、当初の研究実施計画通り、2023年9月5日~7日にフランスのリール大学で本科研のシンポジウム「19世紀の軍事的学知」を実施する。海外研究協力者と相談・協働しながら準備を進める。日本側の報告者、シンポジウム後に行うアンヴァリッド視察などの旅程は、すでに決定している。4月に発表の概要を報告し、7月末~8月初旬に原稿を提出し、日本語はフランス語に、フランス語は日本語に翻訳して、9月のシンポジウムに臨む。また、当初の計画にはなかったが、『軍事史学』の2024年度第1号に、特集「軍事的学知の国際交流」を組むことになり、国外ではシンポジウム、国内では特集号をもって、本科研の研究成果とりまとめとする。あわせて今後の課題を明確にしたい。

備考

谷口眞子「【書評】竹本知行『大村益次郎─全国を以て一大刀と為す─』」『WASEDA RILAS JOURNAL』NO.10、原田敬一「【書評】中野良『日本陸軍の軍事演習と地域社会』」『歴史科学』249号、原田敬一「【書評】大澤博明『明治日本と日清開戦』」『歴史評論』876号、谷口眞子テレビ出演:BS松竹東急「号外!スクープ砲 智の巨人 西周」(2022年12月11日)

  • 研究成果

    (26件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件) 図書 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 第一次世界大戦前の航空機言説と軍事的技術評価の形成2023

    • 著者名/発表者名
      中島浩貴
    • 雑誌名

      戦略研究

      巻: 32号 ページ: 3-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] オスマン帝国における西洋軍事知識の受容2023

    • 著者名/発表者名
      小松香織
    • 雑誌名

      早稲田大学 教育・総合科学学術院 学術研究(人文科学・社会科学編)

      巻: 71号 ページ: 155-170

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] デンマーク戦争(1625-29)再考―国のかたちという視点から2023

    • 著者名/発表者名
      斉藤恵太
    • 雑誌名

      京都教育大学紀要

      巻: 142号 ページ: 79-97

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 四境戦争における大村益次郎の作戦指導2022

    • 著者名/発表者名
      竹本知行
    • 雑誌名

      軍事史学

      巻: 58巻3号 ページ: 24-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近世プロイセン軍の軍事条章2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木直志
    • 雑誌名

      法と文化の制度史

      巻: 1号 ページ: 149-176

  • [学会発表] フランスの軍用航空機-1870年代から1918年まで2023

    • 著者名/発表者名
      西願広望
    • 学会等名
      日本クラウゼヴィッツ学会月例研究会
  • [学会発表] 第一次世界大戦前のドイツの民間人と戦争論2023

    • 著者名/発表者名
      中島浩貴
    • 学会等名
      JSPS科学研究費助成事業(19K13123)「英国における侵攻小説と第一次世界大戦のプロパガンダ的類似性の研究(代表者:深町悟)」
  • [学会発表] Les colonies pour la revolution cosmopolite ― Le cas d’Eschasseriaux2022

    • 著者名/発表者名
      西願広望
    • 学会等名
      国際フランス革命史研究会
    • 国際学会
  • [学会発表] 植民地征服戦争再考―19世紀前半2022

    • 著者名/発表者名
      西願広望
    • 学会等名
      フランス史研究会
  • [学会発表] 黒龍江地区における駐防八旗の成立と「民族」呼称2022

    • 著者名/発表者名
      柳澤明
    • 学会等名
      満族史研究会第37回大会
  • [学会発表] 清朝対中俄貿易的管理体制及其変遷:18世紀後半至19世紀初」「内亜与海洋:明清中央档案、地方文書及域外史料2022

    • 著者名/発表者名
      柳澤明
    • 学会等名
      国際研討会 中央研究院歴史語言研究所
    • 国際学会
  • [学会発表] 黒龍江地区駐防八旗的初期情况2022

    • 著者名/発表者名
      柳澤明
    • 学会等名
      満文文献与清史研究国際学術研討会 中央民族大学
    • 国際学会
  • [学会発表] 大統領の畑を耕し、トルコ人と絹を織る―大谷光瑞によるトルコ初の日本資本2022

    • 著者名/発表者名
      長谷部圭彦
    • 学会等名
      日本中東学会第28回公開講演会
  • [学会発表] 戦前期日本の東洋史学の思想性と無思想性2022

    • 著者名/発表者名
      吉澤誠一郎
    • 学会等名
      第22回日韓歴史家会議
    • 国際学会
  • [学会発表] 近世イタリア北部の貴族と三十年戦争―ゴンザーガ=ボッツォロの子弟と軍務2022

    • 著者名/発表者名
      斉藤恵太
    • 学会等名
      イタリア中近世史研究会
  • [学会発表] 第一次世界大戦前の軍事文化―民間の軍事文化を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      中島浩貴
    • 学会等名
      日本クラウゼヴィッツ学会月例研究会
  • [学会発表] 第一次世界大戦前の軍事と技術――航空機言説を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      中島浩貴
    • 学会等名
      2023年度日本クラウゼヴィッツ学会研究大会シンポジウム
  • [学会発表] 忘れられたプロイセン将軍カール・フォン・デッカー―19世紀前半期のプロイセンにおける兵役義務定着の努力の一断面―2022

    • 著者名/発表者名
      丸畠宏太
    • 学会等名
      日本クラウゼヴィッツ学会月例研究会
  • [図書] 葉隠〈武士道〉の史的研究2022

    • 著者名/発表者名
      谷口眞子
    • 総ページ数
      449
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      9784642043519
  • [図書] 図説 フランスの歴史2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木真
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      川出書房新社
    • ISBN
      4309763170
  • [図書] 岩波講座 世界歴史17 近代アジアの動態2022

    • 著者名/発表者名
      吉澤誠一郎・林佳世子責任編集
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000114271
  • [図書] 清末都市的政治文化与社会統合――天津的近代2022

    • 著者名/発表者名
      吉澤誠一郎(万魯建訳)
    • 総ページ数
      466
    • 出版者
      社会科学文献出版社
    • ISBN
      9787522803920
  • [図書] 大村益次郎 近代的学知の受容と実践(上)幕末編2022

    • 著者名/発表者名
      竹本知行
    • 総ページ数
      55
    • 出版者
      萩ものがたり
    • ISBN
      9784908242267
  • [図書] 大村益次郎 近代的学知の受容と実践(下)維新編2022

    • 著者名/発表者名
      竹本知行
    • 総ページ数
      59
    • 出版者
      萩ものがたり
    • ISBN
      9784908242274
  • [図書] 論集 北東アジアにおける近代的空間:その形成と影響』のうち「露清外交におけるコミュニケーション・ギャップの実相:18世紀初頭と19世紀中葉の二つの事例を通じて」(257-288頁)2022

    • 著者名/発表者名
      李暁東・李正吉編著、(柳澤明分担執筆)
    • 総ページ数
      670
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750353296
  • [備考] 19世紀を中心とした軍事的学知をめぐる人と書物の交錯

    • URL

      https://www.military-knowledge-19c.com

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公開日: 2023-12-25  

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