研究課題/領域番号 |
19H00555
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
赤嶺 淳 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90336701)
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研究分担者 |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 教授 (20324676)
濱田 武士 北海学園大学, 経済学部, 教授 (80345404)
福永 真弓 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70509207)
濱田 信吾 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (00734518)
高橋 五月 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (50791084)
大元 鈴子 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (70715036)
井頭 昌彦 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70533321)
久保 明教 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (00723868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | seascape / wilderness / resilience / supply chain / capitalism |
研究実績の概要 |
2019年7月に全体ミーティングを開催し、各自の調査研究課題と共同研究としての成果発信(国際学会でのパネル組織・国際的なジャーナルでの特集号の企画)について5年間の方向性を確認するとともに、2019年度の個別研究課題と調査概要について意見交換をおこなった。井頭は各分担者の研究計画やディシプリン、アプローチについて収集した情報をもとに異分野連携の方法論について検討を進めた。濵田信吾は、米国の食と社会研究学会がアラスカ大学アンカレッジ校で開催した年次大会Finding Home in the “Wilderness”: Explorations in Belonging in Circumpolar Food Systemsにおいて、Critical Seafood Studies: Taste and Politics of Wilderness in the North Pacific Seascapesと題したパネルを組織し、福永と赤嶺が口頭発表をおこなった。長津は宮城県気仙沼市内および唐桑半島において、マグロ・北洋サケマスを主とする大型水産物を対象とする水産業構造、外国人を含む漁船員構成、マーケット、サプライチェーンの変化に関する現地調査をおこなった。濵田信吾はスウェーデン北東部を中心に、シュールストレミング工場と郷土資料館の見学と関係者への聞き取り調査のほか、スウェーデン語の郷土資料の収集、そしてさまざまなレストランにてニシンを用いた料理を確認した。大元は食料供給の再地域化(re-localization)の動きがあるが、漁業における小規模・地域化の潮流を調査すべく、米国西海岸におけるスローフィッシュ運動とCSF(community-supported fisheries)ならびに、トロント(カナダ)の小売り向け魚屋(Hooked)に対して聞き取り調査をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研の代表者と分担者とで国際学会においてパネルを組み、海外の研究者と研究交流を果たせたことにより、今後の研究に幅と厚みを附すことができた。そのひとつとして、ヨーロッパで関心が高い「脱成長」(degrowth)の研究に取りくむ人びとと交流できたことは、将来的な学会でのパネル組織をふくめ、今後の研究の方向性を拡大させてくれるものと期待している。研究会においても、井頭が各分担者の研究計画やディシプリン、アプローチについて情報収集をおこない、それをもとに異分野連携の方法論について検討をくわえ、次年度以降に共同研究を深化させていくための手がかりを得た。各自の調査も、あらたな課題を発見するとともに研究ネットワークを開拓し、2020年度以降の下準備を整備することができた。2019年度末に新型コロナウィルスの感染が拡大したことにより、3月に予定していた調査の一部を取りやめざるを得なくなったことは、残念であった。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき国際学会でパネルを組織するとともに国際誌で特集号を組めるよう、可能性を模索している。学会については、新型コロナウィルスの感染拡大により、準備していた脱開発やアジア研究に関する学会が規模を縮小して開催されることとなり、参加を見送ることにした。他方、国際学術雑誌における特集については、香港ベースの国際誌と内諾がとれており、現在、赤嶺をふくむメンバー5名が執筆中である。2020年度は各自のフィールドワークの実施可否については不透明な部分がおおいため、文献調査を中心に理論的かつレビュー研究に注力する予定である。また、オンラインでの研究会を定期的に開催し、情報交換と意見交換を積極的に推進していく予定である。そして、個別の調査研究を統合し、「共同研究」としての成果を醸成していく所存である。
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