研究課題/領域番号 |
19H00569
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
千葉 恵美子 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 招へい教授 (70113587)
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研究分担者 |
林 秀弥 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(法学), 教授 (30364037)
大澤 彩 法政大学, 法学部, 教授 (30510995)
高橋 祐介 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (50304291)
品田 智史 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 准教授 (60542107)
松尾 健一 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (80388040)
青木 大也 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80507799)
津野田 一馬 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80756627)
川地 宏行 明治大学, 法学部, 専任教授 (90262831)
水島 郁子 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (90299123)
白石 大 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (90453985)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金融制度のアーキテクチャ / 金融サービス提供法 / 金融サービス仲介システム / アジャイルガバナンス / EUデータ法 / EUデジタルサービス法 / デジタル・プラットフォーム / データ経済のためのALI-ELI原則 |
研究実績の概要 |
本年度も、学際的共同研究組織である「プラットフォームビジネス研究会」での討議と共同研究組織内での検討会を通じて、データ・情報、デジタル・プラットフォームビジネスのアーキテクチャの研究を引き続き行うとともに、これらの基礎研究に基づいて、デジタル・プラットフォームビジネスに関するガバナンスの在り方について、刑事法・民事法・競争法・行政法の各分野から分析した。 データ・情報に関しては、データ経済のためのALI-ELI原則とEUデータ法案を参考にしながら、データ・情報を巡る私人(データ提供者とデータ利用者相互間、プラットフォーム事業者とプラットフォーム利用者相互間)の権利・利益のバランスという観点から、データのもたらす価値の分配を決定する透明性のある「新たな財」のルール、「新たな財」を取引するルールを検討した。 アーキテクチャの分析については、具体的な素材として金融サービス(主に、貸付と決済)を取り上げ、デジタル化の進展に伴う金融環境の変化との関係で、金融制度のアーキテクチャにどのような影響があるのかを分析した。また、金融サービス仲介システムとの関係で、2021年11月から施行された金融サービス提供法について検討し、デジタル化との関係での意義と問題点を解明した。上記の点について取引法、監督法の両面から検討した共同研究の成果の一部をNBL誌上で論文として公表した。 ガバナンスの在り方については、2021年末に政府から公表されたデジタル5原則と新重点計画を分析し、いわゆるアジャイルガバナンスについて規制の手法の特色と問題点を洗い出し、デジタル・プラットフォーム規制における複線化するエンフォースメントの関係について整理するとともに、過重規制と過少規制を避ける手立てについても研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「プラットフォームビジネス研究会」を公開で9回開催し、多様な法分野から16名の方が研究報告を行った。 本年度もデータ・情報、デジタルビジネスのアーキテクチャの研究を引き続き行うとともに、これらの基礎研究に基づいて、本年度からはデジタル・プラットフォームビジネスに関するガバナンスの在り方についても学際的に共同研究を実施した。当初の研究計画に沿って予定通り実施することができており、その意味では、ほぼ順調に研究活動が進行しているといえる。 ただし、当初の計画では、データ・情報、デジタルビジネスのアーキテクチャの基礎研究を本年度中にまとめ、この部分について先に書籍化することを予定していた。しかし、2022年2月にEUデータ法案が公表されその動向やその評価が必要になった。EUのデータ法案はパーソナルデータにとどまらす、デジタル・データを「取引」するルールとして策定されており、また、データは、無体資産である点においては知的財産権と共通する側面があることから、知的財産権に関する規制とEUデータ法案との関係についても分析する。また、デジタルサービス法についても成立に向けて多くの修正作業が行われた。 そこで、EU法の行方を見届けて最新の比較法情報を提供することが良いと判断し、最終年度に比較法編と理論編をあわせて書籍を刊行をすることにした。このため、研究成果の公表分の予算を次年度に繰り延べて執行することにした。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、来年度も学際的共同研究組織である「プラットフォームビジネス研究会」で学際的な討議を行うとともに、本研究課題のとりまとめに向けて共同研究組織内での検討会を行う。 第2に、「プラットフォームビジネス研究会」での研究報告と討議を整理し、本研究課題の研究成果として書籍2冊刊行する予定である。 第3に、EUおよびフランス・ドイツ、中国、アメリカ各国の関連規制についての最新動向に関する書籍を購入するとともに、上記対象国の研究者との間で情報交換を行い、可能な限り最新情報を整理して公表することを予定している。 第4に、上記の共同研究の成果を日本私法学会のシンポジウムで公表するとともに、学術会議などの複数のシンポジウムでも発信する計画である。
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