研究課題
基盤研究(A)
本研究は、従来の刑事法学の体系が前提とする刑事罰中心の司法という観念ではなく、再犯防止の問題や犯罪者の抱える問題に焦点を当てる司法、という観点に基づいた法理論を、法学以外の他領域の研究者と協働して構想し、「治療法学」をわが国に確立することを目指している。古典的な刑事法学の積み重ねにどう応接するかにも、配慮されている。昨今の刑事法学のなかで、刑事罰中心の司法観というものに対する反省の必要が説かれることが、最近では多くなっており、そのような問題意識に対応した本研究には、アクチュアルな意義がある。また治療法学の構築という実践的な課題を視野に収めながら、伝統的な刑事法学理論との比較を基軸として新たな治療法学の理論構築をも目指しており、それが着実に達成できれば学術的意義は大きい。