研究課題/領域番号 |
19H00583
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
猪口 孝 桜美林大学, 総合研究機構, 特別招聘教授 (30053698)
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研究分担者 |
宮本 悟 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (70412137)
益尾 知佐子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (90465386)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多国間条約 / 地球疑似立法行動 / 地球立法政治 / 直接民主主義 / 代表民主主義 |
研究実績の概要 |
国連事務総長のディポジトリーにある多国間条約600を「地球疑似社会契約」として概念化し、世界価値観調査との相関関係を調べることによって、その大まかな妥当性を証明した上で、「地球立法政治」の理論枠組を提示した。さらに「地球的疑似立法行動」として10個の地域集団ごとに、アジアに重点を置いて分析を進めた。 また、東アジア社会で表出される個人生活満足度を測量するための「生活の質」世論調査を日本・中国・韓国・台湾・香港・ベトナムにおいて実施した。多国間条約参加によって表出される価値規範と、東アジア社会で行った世論調査によって表出される価値規範が大まかにいって収斂するかどうかを目的に分析作業を進めた。 2020年度と2021年度には上記の前半部分、「地球擬似社会契約」と「地球的擬似立法行動」を英文科学研究学術書としてそれぞれ刊行した。先取りしていうと、2020年度には「4個のアジア(中央アジア、南アジア、東南アジア、東アジア)のそれぞれのなかで、それぞれが一つの固まりとして、federalism(地域主義、地域統合、連邦主義など)といえるかもしれないものがどこまで発展しているかを本研究の二つの指標、「アジア29個の社会における市民の生活満足度」と「29個のアジア国家の地球的多国間条約参加」をそれぞれ「社会類型」と「立法類型」として概念化と操作化した。その役割はそれぞれ、社会の再生産と社会のグローバル化への適応である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の実績報告書を提出した後、2020年3月に記述された英文学術研究書が刊行された。なお、研究実績の概要の後半に記述された英文学術研究書は2021年度に刊行されたので、まちがいなきよう、ここにも触れている。
Takashi Inoguchi and Lien Thi Quynh Le (2020) The Development of Global Legislative Politics: Rousseau and Locke Writ Global, Singapore: Springer and Nature.
Takashi Inouchi and Lien Thi Quynh Le (2021) Digitalized Statecraft in Multilateral Treaty Participation: Global Quasi-Legislative Behavior of 193 Sovereign States, Singapore: Springer and Nature.
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今後の研究の推進方策 |
アジアを4つの下位地域ごとに(sub regions)分けて、どのような特徴があるのかを、東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジアごとに分析する。それを元に、各下位地域について、21世紀第一・四半世紀に見られる「民主主義の後退」、「グローバリゼーションの過剰」を比較分析する。対外立法行動と国内社会満足度のギャップから見て、アジア下位地域の相似点、相違点を明らかにし、全体として East-West Rebalancing (ミラノヴィッチ、2019)の実態を明らかにする。すでに累積されているアジア社会の類型学としての学術研究書をまとめ、刊行に向ける。2021年度は原稿執筆を中心にすすめる。
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備考 |
WAPOR Asia 3rd Annual Conference「Conversation with the Pioneers」世論調査研究者へのインタビュー(録画)、参加者からの質疑応答 WAPOR Asia Lifetime Achievement Award 2020 受賞
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