研究課題/領域番号 |
19H00584
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
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研究分担者 |
稲増 一憲 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10582041)
遠藤 晶久 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80597815)
尾野 嘉邦 東北大学, 法学研究科, 教授 (70598664)
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 准教授 (50625085)
肥前 洋一 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (10344459)
三輪 洋文 学習院大学, 法学部, 准教授 (20780258)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 行動政治学 / オンライン実験 / 非合理的政治行動 / 政治知識 / イデオロギー |
研究実績の概要 |
善教は、18歳以上の大阪在住の男女1500人を対象とする、複数のサーベイ実験項目を含むオンライン意識調査を、4月に実施した。2019統一地方選下の大阪市民の意思決定過程を明らかにする質問、既存の政党支持に関する理論を見直すためのサーベイ実験、政治家や政党による「過大」な広報と党派性の関係を分析するためのサーベイ実験などが、この意識調査には含まれている。分析の結果、1)有権者の中には国政とは異なる政党を地方政治では支持する場合があること、2)国政における政党支持か地方政治における政党支持と言う文言の相違が、政党支持率の分布に明確な影響を与えること、などが明らかとなっている。 三輪は、次のような実験を行った。従来の政党帰属意識・政党支持の研究は、有権者が「○○党支持者(○○党を支持する)」といった党派性を表す用語をどのように定義しているかを直接検証できていない。こうした問いに答えるため、研究協力者の小椋と共同で、架空の人物のプロフィール(政党に関する社会的アイデンティティの強さ、党派的活動への参加の程度、政党の政策・業績に対する評価、過去や将来の投票行動)を無作為に変化させ、回答者にその人物の党派性を評価してもらうというコンジョイント実験を設計した。3月に、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、インドのクラウドワーカー(各国1、000~2、000人)を対象として実験を実施し、データクリーニングを終えた。 打ち合わせ会議を7月13日に仙台で開催した。実験実施前公開研究集会を10月4日に学習院大学で開き、福元が「候補者の顔だけ見て勝敗が分かるのは、現職を知っているからなのか?」を、三輪が上述した研究を、それぞれ報告した。部外者から9人参加申し込みがあった。 他の研究分担者は、来年度以降に各自が担当する実験の計画・実施に向けて、文献の渉猟や学会・研究会への参加を通じて、情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね交付申請書の研究実施計画に書いた通りに進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
稲増は、政治についての主観的理解度を尋ねた上で詳しい説明を促すことで、再度測定を行った場合の理解度が低下するかどうかを検証するIoEDパラダイムに基づく実験を実施する。遠藤は、イデオロギー的な集団に社会的アイデンティティをもつ人々の間で,イデオロギーに関する情報によって動機づけられた推論が行われる可能性を検討する。具体的には、イデオロギー対立の激しい状況を想定させるような刺激を与えた上で、政治家に対する評価が変わるかを検討する。尾野は、裁判員のジェンダー差を生む要因を探るため、サーベイ実験において本物に似せた呼出状の内容を操作し、どのような呼びかけが男性・女性の辞退率を上下させるのかを探る。善教は、第1に政府の決定を受容する要因を分析するためのサーベイ実験に取り組む。特に政党要因が政策決定への受容に与える効果を分析する。第2に特別区設置住民投票下の意思決定を分析するためのサーベイ実験に取り組む。肥前は、投票と購買という2つの選択問題を取り上げて、有権者兼消費者にとってもっとも大きな違いは何かを見出す調査実験を実施する。三輪は、昨年度に実施したサーベイ実験で得られたデータを分析し、発表する準備を進める。福元は,選挙や市場で政党や企業がいくつあると感じるか、それに影響する要因は何かを調べる実験を行う。 日本政治学会(9月、於京都),計量・数理政治研究会(1月、於横浜)の前後に,実験実施前後公開研究集会を開催する。
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