研究課題/領域番号 |
19H00585
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
眞柄 秀子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50219292)
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研究分担者 |
Brazzill Marc 大阪大学, 国際公共政策研究科, 助教 (10823776)
新川 敏光 法政大学, 法学部, 教授 (30216212)
矢内 勇生 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (50580693)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
三浦 まり 上智大学, 法学部, 教授 (80365676)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会的投資 / 比較政治経済学 / 比較政治学 / 福祉政策 / ヨーロッパ政治 / 北米政治 / 日本政治 |
研究実績の概要 |
2000年EUリスボン戦略の提示以降、社会的投資政策は先進社会における新福祉・成長構想の中心的枠組みになっている。2021年度分として本プロジェクトでは先進諸国においてメインストリームとなった社会的投資戦略への有権者支持に関するサーベイ実験をアメリカ合衆国および韓国の一般有権者を対象として実施した。 社会的投資戦略は、教育政策や女性に焦点を当てた積極的労働市場政策などの長期的包摂的な人的資本形成を推進することで人々の雇用可能性の最大化を目指すものである。しかし各国の福祉・成長ミックスの軌跡はそれぞれ異なり、政策の優先順位のつけ方も国によって様々である。新福祉・経済モデルを民主的に構築するためには多数の有権者の支持が必要となるが、本調査は、どのような条件のもとで社会的投資政策への支持が縮小したり拡大したりするのかを明らかにすることを通じて、新経済モデルへの移行を助けるという社会的便益を提供できる。 さらにサーベイを通じて、社会的投資政策は、貧困や不平等の軽減を目指した伝統的な社会政策とどの程度まで補完的なのか、また、経済成長やデモクラシーの質の向上にどのように貢献できるのかについての知見を得ることができる。 今回の調査はヒトを対象とするサーベイであったが、参加により対象者が受けると思われる利益は間接的かつ社会性の強いものであるといえる。すなわち、経済成長と福祉推進を両立することが可能な新福祉・成長モデルのあり方の探求に対象者は間接的に貢献することができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4年プロジェクトとして開始した本研究は、当初、きわめて順調に進み、世界各国比較のサーベイ実験へのパイロット調査を実施し、その研究成果を公開し海外からも高い評価を受けた。しかし、本プロジェクトが予定していた国際比較研究は現地調査を含むものであり、2020年春以降はパンデミックの影響をダイレクトに受けて、研究が大幅に遅れることとなった。 これに加えて2021年秋には研究代表者が体調を崩し、計画していた研究を実施することが困難となったため、各年度の予算を繰り越し、繰り越しが不可能となった年度の予算は国庫に返還した。また、2022年3月にプロジェクトは終了する予定であったが、上記の理由により、2023年3月まで研究期間を延長した。 その後、研究代表者が徐々に回復し、2023年度には研究の遅れを取り戻すべく国際会議を開催し、サーベイ実験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年3月に終了する予定であった研究プロジェクトを2023年3月まで延長した。プロジェクト期間は既に終わっているが、サーベイを実施した各国の実態につき、さらに分析を深め、今後も研究成果を発表してゆく予定である。
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