研究課題/領域番号 |
19H00598
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
清田 耕造 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 教授 (10306863)
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研究分担者 |
寳多 康弘 南山大学, 経済学部, 教授 (60327137)
村田 安寧 日本大学, 経済学部, 教授 (40336508)
松浦 寿幸 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 准教授 (20456304)
中島 賢太郎 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (60507698)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グローバル化 / 産業内調整 / 産業間調整 / 空間的調整 |
研究実績の概要 |
サブテーマAでは、中国からの輸入の拡大が雇用調整に及ぼす影響について分析した。最終財の輸入は製造業雇用に負の影響をもたらすものの、中間財の輸入は、この負の影響を緩和・相殺する場合があることが明らかになった。この成果はKiyota, et al. (2021)として公表された。また、グローバル化に伴う経済活動の産業間調整について、ヘクシャー=オリーン・モデルから導かれる逆説的な現象は各国の技術の違いや貿易不均衡を考慮することで解消できることを明らかにした。この成果は、Kiyota (2021)として公表された。サブテーマBでは、日本の製造事業所の製品構成の中国からの輸入品の増加による影響について分析した。その結果、日本企業は輸入ショックに応じて製品ポートフォリオの転換を行っていることがわかった。この成果はBellone, et al. (2022)として公表された。サブテーマCでは、オフショアリングが地域雇用に与える影響について検証した。日本企業のオフショアリングは、地域の製造業雇用に負の影響を与えていないことを示した。この成果はKiyota, et al. (2022)として公表された。サブテーマDでは、多くの数量空間経済モデルにおける空間均衡の変化は、古典的なMcFaddenモデルと標準的な空間均衡条件を用いて生成可能であることを証明した。また、空間均衡の変化が同一であっても、それに伴う経済厚生の変化はモデルに依存することを明らかにした。この成果はBehrens and Murata (2021)として公表された。サブテーマEでは、各国・地域独自の製品基準の調和と関税の撤廃を同時に達成する深化した貿易協定が、二国間から多国間で締結されるのは、関税同盟の場合に可能であることを明らかにした。これはKawabata and Takarada (2021)として公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合計で、査読付き学術誌掲載論文6本、学会報告8件の成果があった。このため、プロジェクト3年目の令和3年度はある程度当初の計画に従っておおむね順調に研究を進めることができていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の当初研究計画に加え、追加配分により分析の精緻化、および分析結果の頑健性の確認を進める。9月以降の国内外での学会・ワークショップでの論文発表を通じて分析へのフィードバックを得ることで、分析の課題を洗い出す。得られた結果については、令和4年度の当初計画にある5つのサブテーマ(「中国からの輸入の拡大と雇用調整」、「グローバル化と製品・業種転換、高付加価値化」、「企業の雇用調整と国境を越えた生産調整」、「新財開発と厚生効果」、「各国・地域の規制制度、非貿易財産業と厚生効果」)の分析結果を総合的に検討することで、分析の精緻化と頑健性の確認を進め、論文の投稿へとつなげていく。
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