研究課題/領域番号 |
19H00608
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
中澤 渉 立教大学, 社会学部, 教授 (00403311)
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研究分担者 |
多喜 弘文 法政大学, 社会学部, 准教授 (20634033)
高松 里江 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (20706915)
白川 俊之 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (40805313)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
石田 賢示 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60734647)
古田 和久 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70571264)
西丸 良一 明星大学, 人文学部, 助教 (70634476)
吉田 崇 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80455774)
苫米地 なつ帆 大阪経済大学, 情報社会学部, 講師 (90782269)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COVID-19 / メンタルヘルス / 格差 / ジェンダー / パネル調査 / ライフコース / 進路選択 / 若者 |
研究実績の概要 |
2020年度は、COVID-19の感染拡大もあり、当初予定していた研究成果の発表において、旅費の執行がほぼ不可能となった。ただし、そうした非常事態が人々の生活や意識に与える影響をデータとして保存しておくことが重要な使命であると考え、予算を踏まえて、やや質問項目の内容を絞った質問紙調査を実施した(2020年10月)。これにより、2019年度の調査の結果と比較し、個人内の意識や態度、生活の変動を把握することが可能になった。 その結果明らかになったのは、もともと女性のメンタルヘルスの状況はよくないが、COVID-19による1回目の緊急事態宣言後には(変化は統計的に有意ではないが)男女の差が拡大する傾向がみられた。またメンタルヘルスの状況をみると、単純な職種や従業上の地位というより、対人サービス、旅行・宿泊など、特定の業種にかかわる職業の間でメンタルヘルスの状況がよくない傾向はみてとれた。 これ以外に、調査の方法論に関連するものとして、子どもによる親職や親学歴の代理回答の信頼性(学歴は正確だが、職業の回答にはズレがある)、自己評価成績が入学した高校ランクにほぼ対応していること、また暮らし向きを主観的に評価させる項目は、実際の収入より過大に評価されていることが明らかにされた。 ジェンダーや階層に関連する知見としては、ジェンダー・ステレオタイプの保持が職業選択に影響すること、女性の結婚後のキャリアの見通しは、出身階層などでは説明がつかないこと、奨学金受給と出身階層には強い関連があること、学校中退経験はその後の就業におけるキャリアにネガティブな影響を及ぼし続ける可能性があること、離家の経験は、男性のみ本人の収入が関連していること、初婚経験は女性のみ、母学歴が高いほど遅くなるという傾向がみられることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
海外学会での出張による発表というような成果発表は不可能となった(ただし事前審査ではアクセプトされていた)が、代わってデータを獲得できたので、むしろ分析の幅が広がった。学会発表や論文など、順調に研究業績が上がっている上、今後も継続的に活字化できる業績が出る見込みがある。年度末(2021年3月15日)には、東京大学社会科学研究所課題公募型二次分析研究会の報告会をオンラインで実施したが、ここでは本科研費のデータが用いられている。50名近い一般参加の聴衆を集め、本プロジェクトの関心が高いことが明らかになった。以上から、当初計画以上の進展がみられると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、2021年度は実査に重点を置いて研究を進める。前半の段階でメンバー間で研究会を複数回開催し、質問紙案をかためることにする。なお、若干回収率の低さ、および回収者のデータの偏りが気になる部分があるので、2021年度については、オンライン回答だけではなく、紙媒体での回答も認めるなどして、できるだけ回収数を増やすような工夫をしたい。実査は2020年と同様に秋(10月~11月頃)を考えている。回収後は、できるだけ早くコーディングの作業を進め、メンバーでデータを共有し、早めにアウトプットを出せるように心がけたい。
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