研究課題/領域番号 |
19H00616
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
植阪 友理 東京大学, 高大接続研究開発センター, 准教授 (60610219)
|
研究分担者 |
岡田 謙介 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (20583793)
Manalo Emmanuel 京都大学, 教育学研究科, 教授 (30580386)
光永 悠彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70742295)
深谷 達史 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70724227)
中川 正宣 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 特別研究員 (40155685)
瀬尾 美紀子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90431775)
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
上西 秀和 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50637006)
仲谷 佳恵 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (70771864)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | テスト活用 / 深い学び / 教師の授業改善 / 生徒の学習改善 / 実態把握力の解析 |
研究実績の概要 |
次期学習指導要領の公示にともない、「深い学び」が重視されている。新学力観に沿うテストも実施されつつあるが,テスト実施が授業改善につながらないという問題がある。本研究では、 その原因に焦点をあてるとともに,それらを改善するような実践の開発まで行う。 上記の問題意識をふまえ、4ユニット構成で以下の4課題に取り組んでいる。 研究課題1:テスト結果が授業改善に結びつかない原因となる教師の信念を心理学的に検討する。研究課題2:テスト結果が授業改善に結びつかない原因となる教師の認知を数理モデルで解析する。 研究課題3:「深い学び」を促す指導法の工夫を、調査研究から明らかにする。 研究課題4:明らかとなった指導上の工夫を取り入れた学校での実践を展開し、効果を検証する。 初年度については,研究課題1と関連して,学校が作成した対策レポートの分析を行った。テストが深い学びを測定するものであっても,点数の比較に終始することが多く,深い学びのどの側面が十分に達成されていないのかを把握することが難しくなっていることが示された。2年目は認知診断モデルも活用して研究を進めるが,そうした研究に必要な数理的な研究についても本プロジェクトでは達成している。研究2に関しては,Witsと呼ばれる数理モデル及び解析システムを開発している。このシステムを利用したユーザーから,対象とする人数に適したカテゴリ数の設定が要望として出された。これを踏まえて,シミュレーションを用いてカテゴリ数の設定に関する研究を行った。課題3では,指導法上の工夫の効果を検証するための前提として、IRTおよび等価の技術を用いて深い学びを測定する一次元尺度を開発している。コロナのために調査実施が遅延しているが,質問紙の作成は完了しており,状況が落ち着き次第実施する予定である。課題4の前提として,複数の学校と,テストを軸とした授業改善研究を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年研究機関を延長したこともあり、初年度目指した研究は十分に達成できたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目においても,ユニットごとに分かれ,研究を継続する。最初の2年間は,研究課題1と研究課題2を重点課題とする。研究課題1として、学校が作成した対策レポートの分析をより精緻にとりまとめるとともに,教師へのインタビュー調査(要因の洗い出し)を行う。1年目の研究からテストが深い学びを測定するものであっても,点数の比較に終始することが多く,深い学びのどの側面が十分に達成されていないのかを把握することが難しくなっていることが示された。こうした分析結果を踏まえ,深い学びをいくつかの要素に分けて達成状況を捉え,それらを数理的な方法も活用しながらうまく生徒や教師にフィードバックしていく必要性を議論した。2年目以降は,認知診断モデル等の活用も視野に入れ,研究を進める。また,教師インタビューを踏まえて,教師のテスト活用観に関する信念を問う質問紙の作成と実証的検討を行う。また,初年度の成果と課題を踏まえて,深い学びを構成要素に分けて捉えて,実証的に出力し,生徒や教師に返却することを,認知診断モデルなどを活用しながら実現する。研究課題2として、深い学びを測定するテストを用いて,教師に生徒の得点を予測させる。これを通じて,教師が深い学びに関して,どのくらい生徒の実態を正確に把握しているかを捉えるとともに,ギャップが大きかった項目を用いて,教師と共同し,テスト活用のあり方を変化させていく。さらに,研究課題3の前提として準備している、IRTおよび等価の技術を用いて深い学びを測定する一次元尺度を開発を,コロナが落ち着き次第再開する。
|