研究課題/領域番号 |
19H00637
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日比 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80181113)
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研究分担者 |
蔵野 和彦 明治大学, 理工学部, 専任教授 (90205188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シチジー理論 / シンボリック冪 / Cox 環 / シンボリック Rees 環 / Hibi 環 |
研究実績の概要 |
(シンボリック冪)2019年度の可換環論セミナー(弘前大学)、可換環論若手研究会(千葉大学)、可換環論シンポジウム(倉敷)において、シンボリック冪に関連した講演をする研究者に旅費を援助し、積極的な情報収集をした。2020年1月、国分パークプラザ(霧島)で非公開の勉強会を開催し、結果の発表と討論、情報収集とともに、更なる共同研究の準備を実施した。その勉強会では、シンボリック冪に関連し、Cox環の有限生成性、自己交点数負の曲線の有理性、正標数の理論の応用、CM表現論との関係、イデアルのフィルトレーションの理論の応用などを巡る議論をし、幾つかの結果を得、今後の課題を発掘した。研究面では、スペースモノミアル曲線の定義イデアルの極小生成元の一つが自己交点数負の曲線の定義式になる場合、そのシンボリックリース環の有限生成性をコンピューターで有効に計算する方法を開発することに成功した(Kurano-Nishida)。 (シチジー理論)有限単純グラフ G のedge ideal I(G) のRees環 R(I(G)) のregularityとedge ideal I(G) の冪のregularityの研究を展開した。前者は、 R(I(G)) が正規の仮定の下、G のマッチング数 mat(G) が R(I(G)) の下限となり、mat(G) + 1 が上限となることの証明に成功した。加えて、edge ring K[G] が正規、しかも、G が非二部グラフであるならば、K[G] のregularityの上限が mat(G) となること、及び、G が二部グラフであるならば、K[G] のregularityの上限が mat(G) - 1となることを示した。後者は、reg(I(G)^s) - 2s の上限を、G の頂点の個数 n と G の辺の個数 e を使い、表示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンボリック冪の研究も、シチジー理論の研究も、研究期間の初年度(2019年度)の研究成果は、十分なものである。国際共同研究も遂行され、当初の研究計画に沿った研究が展開されている。
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今後の研究の推進方策 |
(シンボリック冪)2021年度の可換環論シンポジウム、可換環論セミナー、可換環論若手研究会の講演者の旅費の援助を計画していたが、コロナ禍の影響で、それらの集会は、それぞれ、zoom、ハイブリッド開催、中止となった。計画していた海外渡航(ユタ大学、Singh教授との共同研究)及び、外国人研究者の招聘(ミズーリー大学、Cutkosky教授)も2021年度は無理であるから、2022年度以降に延期する。2021年度は、上記の3つの集会のシンボリック冪に関係する講演の講演者に謝金等を支出する計画である。研究分担者は、2021年度の可換環論シンポジウムと月一回のペースで開催されている東京可換環論セミナーの世話人の一人である。東京可換環論セミナー以外にも非公式なzoomセミナーを開催して、シンボリック冪に関する情報収集と共同研究の機会とする。研究面における研究課題は、有理三角形で定義されたるエルハート環のシンボリックリース環の有限生成性の探究である。なお、研究遂行のため、ポスドクを雇用し、共同研究を実施する。 (シチジー理論)有限単純グラフ G の edge ideal I(G) のベッチテーブルの型の決定問題を探究する。すなわち、有限単純連結グラフ G の頂点の個数 n を固定し、G を動かすとき、(proj-dim(S/I(G)), reg(S/I(G))) の範囲を決定する。まず、G がtreeあるいは二部グラフのときを議論し、その後、一般の G を考える。加えて、edge ideal I(G) のsquarefree冪 I(G)^{[s]}のregularityの挙動を探究する。とりわけ、s の函数 reg(I(G)^{[s]}) - 2s が単調減少であるという予想の解決に挑戦する。以上の研究は、イスタンブールのNursel Ereyとの国際共同研究として遂行する。
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